熊本県議会 > 2022-06-08 >
06月08日-02号

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  1. 熊本県議会 2022-06-08
    06月08日-02号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    令和4年 6月 定例会               第 2 号              (6月8日)  令和4年   熊本県議会6月定例会会議録     第2号令和4年6月8日(水曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第2号  令和4年6月8日(水曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(47人)            堤   泰 之 君            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(1人)            増 永 慎一郎 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  小 牧 裕 明 君     総務部長   平 井 宏 英 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     理    事 小金丸   健 君     健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君     環境生活部長 小 原 雅 之 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 原 山 明 博 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   亀 崎 直 隆 君     会計管理者  野 尾 晴一朗 君     企業局長   竹 田 尚 史 君     病院事業            渡 辺 克 淑 君     管理者     教育長    白 石 伸 一 君     警察本部長  山 口 寛 峰 君     人事委員会            西 尾 浩 明 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   手 島 伸 介     事務局次長            村 田 竜 二     兼総務課長     議事課長   富 田 博 英     審議員兼            濱 田 浩 史     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(溝口幸治君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― 就任挨拶 ○議長(溝口幸治君) まず、去る2月定例会において任命同意になりました教育長から挨拶の申出があっておりますので、この際、これを許します。 教育長白石伸一君。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) おはようございます。さきの2月定例県議会におきまして任命の同意をいただき、4月25日付で教育長を拝命いたしました白石伸一でございます。熊本の子供たちの夢をかなえる教育を実現するために、市町村教委などとしっかり連携して、全力で取り組んでまいります。県議会の皆様方の御指導のほどよろしくお願い申し上げます。(拍手)    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(溝口幸治君) 次に、日程に従いまして、日程第1、一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人60分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 岩下栄一君。  〔岩下栄一君登壇〕(拍手) ◆(岩下栄一君) 皆さん、おはようございます。熊本市一区・自由民主党の岩下栄一です。 質問に入ります前に、一言意見を申し上げます。 2月議会の3月2日に、私どもは、力による現状変更は認めない、ロシアのウクライナ侵略に対する反対の決議をいたしました。しかし、なお戦況は相変わらず、多くの人々の命が失われております。そこで、私どもは、プーチンのプーチンによるプーチンのための戦争を一日も早く終結し、ウクライナに青空が戻り、子供たちに笑顔が戻ることを強く期待したいと思います。 それでは、質問に入ります。 国の緊急対策を踏まえた本県の対応と今後の財政運営についてであります。 令和2年7月豪雨から間もなく2年がたとうとしています。しかし、県並びに関係当局の御努力で、球磨・人吉地方あるいは五木村、川辺川流域、それぞれ復旧が進み、元の姿を取り戻そうとしております。一日も早く清流球磨川が元に戻り、流域の住民の皆さんが安心して過ごせる状態を期待したいと思います。 さて、昨年も同様の趣旨で質問いたしましたけれども、ここ1年で世界の様相が一層変わりました。ロシアのウクライナ侵略により、貴い命が奪われ、原油が高騰し、我々が生活していくために必要な生活必需品、食料品など、様々な物価が上昇しています。 本県は、熊本地震、7月豪雨、そして新型コロナウイルスと、三重の困難から着実に歩みを前に進めているところでありますけれども、原油価格高騰に伴う物価上昇がその足かせにならないようにしていくことが重要だと思っております。 政府は、4月28日に、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策として、本県への新型コロナ臨時交付金77億円を含む約1.5兆円の予備費の使用を閣議決定いたしました。 また、先月末には、第2弾として、コロナの再拡大や原油価格、物価のさらなる高騰等による予期せぬ財政需要に対応するため、約2.7兆円に及ぶ補正予算が可決されました。 県としても、政府の動きに後れることなく、県民や事業者にとって必要な対策が講じていかれるべきだと考えます。 そこで、県としては、国の緊急対策を踏まえ、どのような対応を行っていくのか、知事にお尋ねいたします。 次に、将来に向けた本県の財政運営についてであります。 先月行われた財務省の財政制度等審議会では、「歴史の転換点における財政運営」と銘打って、今後の財政運営について論議が行われました。そこでは、コロナやロシアのウクライナ侵略など不確実性が増大する中で、危機においても我が国が円滑に資金調達ができるよう、財政の対応余力を持っておく必要が高まっています。経済、財政の正常化に向けた取組を加速化させていく必要があると思います。 このような指摘は、国家財政に対してのものでありますけれども、中期試算において、熊本地震などの災害復旧工事に伴う借金返済が本格化し、5年間で180億円を超える財政不足とされている本県においては、まさに示唆として受け止めざるを得ないと思います。 そこで、将来に向けた財政運営をどのように考えていくのか、併せて知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 1点目の国の緊急対策を踏まえた本県の対応についてお答えします。 ロシアによるウクライナ侵略などの影響により、世界規模で不確実性が高まっております。国は、コロナ禍からの社会経済活動の回復を確かなものとするために、原油価格高騰対策食料等安定供給対策中小企業対策生活困窮者への支援の4つの柱で構成する緊急対策を発表しました。 本県では、去る5月17日に、この緊急対策を活用した第1弾として、低所得の独り親世帯に対する児童1人当たり5万円の給付金の予算を、議会の御理解もいただきながら、専決処分させていただきました。現在、今月中の支給に向け、準備を進めています。 さらに、生活困窮者中小企業者への支援など、第2弾の緊急対策予算について、今会期中に追加提案する予定です。 熊本地震、7月豪雨、新型コロナウイルス感染症と、3つの大きな困難への対応と併せて、今後も国の支援策を最大限に活用し、県民生活への影響の最小化と地域経済の回復等について、必要な対策をちゅうちょなく実行してまいります。 次に、今後の県の財政運営についてお答えします。 不測の事態に備えた財政の対応余力については、様々な災害を経験した本県が、実際に対応してきた問題です。 私は、1期目の知事就任直後、中期試算を行い、私自身の給与カットをはじめ、人員や補助金の削減など、皆様に御理解、御協力をいただきながら、徹底した行財政改革に取り組みました。 その後も、熊本地震からの創造的復興を進めるため、改めて中期試算を行い、将来を見据えた財政運営を行うなど、県財政の健全化に努めてまいりました。 本県が2度の大きな災害や新型コロナウイルス感染症に対して、国の支援も最大限に活用しながら、ちゅうちょなく取り組むことができたのは、これまでの財政健全化の取組の成果だと考えています。 今年度も、52億円の財源不足を見込んでいましたが、全庁的に事業の見直しを行い、選択と集中による予算の重点化を進め、当初予算を編成することができました。 しかし、今後の景気動向や地方財政をめぐる状況の変化などの不確実性への対応など、今後の財政運営は、決して予断を許さない状況です。 私の任期中は、財政調整4基金を80億円程度確保すること、また、通常県債残高は現在と同程度の水準を維持することを目標に、これまで同様、将来の不確実性に柔軟に対応できる持続可能な財政運営を行ってまいります。  〔岩下栄一君登壇〕 ◆(岩下栄一君) 大変不確実な時代を反映して、立派な財政運営に取り組んでおられることに対して心から期待をしております。 次に、TSMC、すなわち、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニーTSMC進出に伴う問題対応について、3点ばかりお尋ねいたします。 まず、経済効果についてであります。 半導体、言い換えれば集積回路は、産業の米と言われてきましたが、今や最大の戦略物資であり、世界経済を左右する存在です。パソコン、エアコン、炊飯器、テレビ、洗濯機、スマホなどなど、我々の身の回りのものはもとより、現代において欠かすことのできない存在です。 我が国は、かつて半導体の生産国でありましたが、今や世界では、台湾が1位、韓国が2位、我が国は3位であります。 最も半導体生産能力が高い国は、TSMCを有する台湾であり、全世界の生産能力の約22%を占めています。2位は韓国で、シェア20.6%。台湾は、2011年に我が国を追い抜いてから、2015年以降は世界1位を維持してきました。3位の日本はシェア16%で、4位は中国です。アメリカは5位、6位はヨーロッパとなっています。 そうした中で、岸田政権は、看板政策として、経済安全保障推進法をさきの通常国会に提出、先般可決、成立しました。 岸田首相は、首相就任時に、岸田内閣の経済成長戦略の柱として、デジタル田園都市国家構想と並んで、経済安全保障を掲げています。国民生活や経済活動の影響の大きい物資を特定重要物資として指定し、国が民間企業における特定重要物資の供給計画を把握し、生産支援を行い、サプライチェーンの強化を図ります。どのような製品が特定重要物資に指定されるかは法案に明記はされておりませんけれども、特定重要物資の具体例として、医薬品や半導体が挙げられると思います。 そんな中で、半導体の生産基地が本県に誘致できたのは、県が国に先駆けて半導体生産に力を注ぎ、支援したからであり、県民としては大いに誇らしく、歓迎すべきことであると思います。 さて、TSMCの子会社、JASMと菊陽町は、工場建設に向けて立地協定を締結、既に着工しました。2024年末の生産開始を目指しており、総投資額は、86億ドル、米ドルで。日本円で約1兆円であります。半導体の国内生産を促すため、政府は総額8,000億円を、本県は、TSMCの進出を契機としたさらなる半導体産業の集積のために、45億6,400万円を22年度の予算に計上しています。 萩生田経済産業大臣は、今後の経済対策で必要な予算の確保と数年度にわたる支援の枠組みを速やかに構築していきたいと述べています。 地元の金融機関は、新工場の経済効果について、工場が稼働する2024年から2年間で約1兆8,000億円に上るとの試算を示しています。その内容は、工場建設関連設備投資額約9,800億円、工場の操業に伴うメンテナンスなどで約7,000億円、周辺の住宅整備などで約800億円としております。工場では約1,700人の雇用が計画されており、人が増えることにより、移動や飲食などへの波及でさらに効果が出ると見られます。これにより、県の税収増も相当見込めるのではないかと期待しています。 そこで、県としては、どのような波及効果を見込み、また、どのように地域に波及させていくのか、商工労働部長にお尋ねいたします。 次に、人材の問題です。 半導体の自国での技術開発や専門人材の育成が言わば鍵となっていくときに、国も経済安全保障技術育成プログラム事業を構築し、21年度予算に盛り込んだのであります。また、TSMCも、先端技術に通じた1,700人の人材の確保を進めています。このように、人材需要が大きく増大する中、地場の半導体関連企業や他の業種における人手不足も懸念されます。 そこで、県としては、技術系人材の育成と確保についてどのように取り組まれているのか、商工労働部長にお尋ねいたします。 第3に、子弟の教育環境の整備であります。 また、台湾より来日する人材をどう迎えていくのか。家族を帯同する人も多かろうと思いますが、子弟の教育環境の整備をどのように整えていかれるのか、企画振興部長にお尋ねいたします。 最後に、水の問題です。 自然環境の保全、水の問題であります。半導体工場では、洗浄のために大量の水が必要と聞いております。地下水は熊本の宝であります。この水の手当てと洗浄した水の後に残る化学物質などにどう対応されていくのか、環境生活部長にお尋ねいたします。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) まず、TSMCの進出に伴う経済効果についてお答えします。 今回のTSMCの進出は、本県にとって、今後の県経済の発展と地方創生を図る上でビッグチャンスであると認識しており、TSMCの進出効果を最大限に高め、県内全域に波及させていくことが重要であると考えています。 そこで、県では、昨年11月のTSMCの進出発表直後に、知事をトップとする半導体産業集積強化推進本部を設置し、様々な課題に迅速に対応するため、全庁一丸となって取り組んでいます。 議員が触れられたとおり、JASMによる今回の新工場への投資金額は約1兆円と、県内でも過去最大の額です。 TSMC進出発表以降、半導体関連企業の進出や増設も見られます。法人事業税などの税収の増加や企業間の取引の増大をはじめ、本県にとって相当規模の経済効果をもたらすものと考えています。 また、多くの建設作業従事者の方が長期間熊本に滞在されることによる飲食業や旅館、ホテル業における経済効果も期待されます。 さらに、今回の進出は、半導体の安定供給による経済の安全保障への貢献や新たな雇用の創出による若い世代の移住、定住促進、国内外からの優秀な人材の確保など、様々な効果も見込まれています。 こうした効果をさらに高めていくためには、県だけでなく、市町村や商工団体、企業等との連携と協力が必要不可欠であり、様々な機会を活用して、関係者との情報共有と信頼関係の構築に努めているところでございます。 また、本県のみでなく、九州が一丸となって課題に取り組むことも重要であり、国においても、シリコンアイランド九州の復活へとつなげていくため、九州半導体人材育成等コンソーシアムを立ち上げ、喫緊の課題である人材の育成や人材の確保、さらにサプライチェーンの強靱化など、オール九州での取組を進めています。 県としては、引き続き、国や市町村、商工団体等とも幅広く連携しながら、TSMC進出の波及効果を最大限に高めてその効果が広く及ぶよう、オール熊本オール九州の姿勢でしっかりと取り組んでまいります。 次に、人材の育成と確保についてお答えします。 人材の育成と確保は、喫緊の課題の一つであると認識しており、半導体産業集積強化推進本部において、専門の部会を設置し、庁内はもとより、国や教育機関などとも連携しながら、様々な取組を進めています。 まず、セミコンテクノパーク内に所在する公共職業能力開発施設県立技術短期大学校については、令和6年4月に、半導体関連の新学科を設置する方向で検討を進めております。また、構造改革特区法を活用した大学への編入制度の導入も検討を開始したところです。 一方、国においては、オール九州で課題に取り組むための九州半導体人材育成等コンソーシアムが3月に設置されました。今後、産学官が連携して、まず「半導体は社会基盤の主人公である」と誰もがその価値を理解している九州、次に「半導体を学ぶ楽しさ」に共感している九州、そして半導体産業で働くことに「誇り」と「生き甲斐」を実感する九州の実現を目指していくこととされています。 また、熊本大学では、4月に半導体研究教育センターを開設し、半導体関連企業に就職する学生数を、現在の約60人から5年後に100人に増やすことを目標に、新たなカリキュラムの構築を進めています。さらに、国立高等専門学校機構では、九州・沖縄の高専9校で半導体の製造や開発を担う人材を育成すると発表し、本県の熊本高専と佐世保高専の2校を拠点校に指定しました。この4月から、新科目として半導体工学概論が設置されたところでございます。 県としては、このような動きと連動し、県内の産学官の情報交換の場である熊本県半導体人材育成会議の活動を通して、人材の育成と確保に努めてまいります。 また、熊本の企業や地域の魅力を理解してもらい、熊本に移り住みたい、熊本に戻って働きたいと感じてもらうための取組も重要です。働く人が魅力を感じるブライト企業の県内外におけるPRや全国に19ある就職支援協定締結校との連携を深めるなどにより、UIJターンの促進にも積極的に取り組んでまいります。あわせて、議員御指摘の地場企業の人手不足への懸念についても、円滑な労働力移動のための再就職を支援する取組や中小企業に専門家を派遣し、企業の採用力向上を図る取組を進めてまいります。 TSMCの進出効果を最大限に生かし、シリコンアイランド九州を復活するためには、人材は最も重要な課題の一つです。今後とも、産学官の連携を密にしながら、スピード感を持って人材の育成と確保にしっかり取り組んでまいります。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 外国籍の子供の教育環境の整備についてお答えいたします。 TSMCの進出に伴い、台湾から320名の駐在員と300名の御家族が熊本にお越しになり、その御家族のうち、半数が子供と伺っています。 県では、駐在員の方々が安心して御家族と熊本にお越しいただけるよう、外国籍の子供の教育機会の確保に係る専門部会を設置し、検討を進めています。 外国籍の子供を受け入れる教育機関としては、地域の小中学校やインターナショナルスクールなど、様々な選択肢があることから、現在、それぞれの特色などを整理しているところです。 今後、取りまとめた結果を基に、駐在員の皆様のニーズも踏まえながら、様々な学びの場が確保できるよう取り組んでまいります。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) まず、地下水の採取についてお答えします。 半導体工場では、半導体表面の洗浄などの製造過程で多くの地下水が利用されると聞いています。そのため、県は、昨年から、ソニーを窓口に、水の循環利用や敷地内外での地下水涵養など、地下水保全に対する積極的な取組を要請してきました。 その結果、4月19日の立地協定調印式で、JASMから、70%以上の水の循環利用や地下水利用量の100%以上の地下水涵養など、保全対策に取り組むことが発表されました。 県としては、地下水保全対策が着実に実施されるよう、関係市町村公益財団法人くまもと地下水財団などと連携し、しっかりと取り組んでまいります。 次に、排水についてお答えします。 排水の水質や排水施設の構造などについては、水質汚濁防止法及び本県独自の地下水保全条例による規制基準を守っていただくことが必要です。 特に、地下水保全条例では、排水に含まれる化学物質に関して、重金属、有機溶剤など23の項目で、法律よりも厳しい基準を設定しており、環境汚染の防止を図っています。 県としては、事前届出や立入検査の制度運用を通じて、法律や条例の基準が守られているか、確認、監視してまいります。 地下水は、熊本都市圏100万人の生活と産業を支える熊本の宝であり、大切に活用しながら、その恵みを将来に引き継いでいくことが必要です。 今後とも、関係市町村などとともに、地下水の採取と排水の両面でしっかりと取組を進め、水資源の保全に努めてまいります。  〔岩下栄一君登壇〕 ◆(岩下栄一君) 3部長から御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 特に、私は人材の確保に興味を持っております。熊本から一人の人材も流出させない、また、呼び戻すというような迫力で、ぜひこのTSMC進出を機に、多くの人材を、もともと熊本の人材を熊本に取り戻していただきたいというふうに念願いたします。 それでは次に、本県の子供施策についてお尋ねいたします。 こどもの日制定から70年、子どもの権利条約批准から28年を迎えていますが、ようやく今国会でこども家庭庁の設置を可決、同時に、こども基本法も可決されて、今国会で成立の見込みであります。文字どおり、こどもまんなか社会が国民合意に達したと思います。 さて、今年のこどもの日の子供の数は、全国で1,465万人、本県では22万7,000人で、人口で言えば13.1%であり、少子化にいよいよ拍車がかかっていると思います。 そんな中で、虐待、いじめ、貧困、自殺など、子供を取り巻く環境は、深刻化の一途をたどっております。そうした中でこそ、子供を中心に据えたこどもまんなか社会に対する行政の在り方が問われるのであります。しかし、こうした問題は、あまりにも範囲が広く、課題は多く、取り留めない印象は拭えません。 そこで、県としては、国のこども家庭庁設置の動き、社会の趨勢をどう評価するのか、また、本県の今取り組むべき課題は何なのかを改めて知事にお尋ねいたします。 次に、くまもと家庭教育支援条例の成果についてお尋ねします。 多元的国家論者マッキーバーは、国家や政府の起源は家庭にあると論じ、人間は、家庭においてこそ人間として成長、発展することは言うまでもないと述べています。 こども基本法は、基本理念として、こどもの養育は家庭を基本とし、父母ら保護者が第一義的責任を負うと規定しておりますが、こうした理念を従来から共有する我が党県連は、くまもと家庭教育支援条例の制定に尽力、全国に発信し、全国的な賛同を得ております。これを受けて、県執行部もいち早く体制を構築し、現在では、5部局18課に及ぶ体制となったと聞いています。 これまでの我が党県連の若手議員の皆さん、溝口議長はじめ、内野先生、橋口先生などの御努力に敬意を表するばかりです。 そこで、くまもと家庭教育支援条例制定後の成果について、教育長にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) これまで、我が国では、政府を挙げて、幼児教育、保育の無償化をはじめとする子供に関する様々な政策を着実に進めてきました。しかし、少子化、人口減少に歯止めがかからない状況です。 また、児童虐待の相談対応件数や不登校の生徒数が年々増加するなど、子供を取り巻く課題は深刻さを増しています。 このような中、子供たちを誰一人取り残すことなく、健やかな成長を社会全体で後押しするため、新たな司令塔となるこども家庭庁が創設されます。 これにより、母子保健や保育、児童虐待防止、子供の貧困対策、障害児支援など、子供に関する政策を一元的に実施することが可能となります。 一方、子供の教育に関する分野は、引き続き文部科学省の所管となります。こども家庭庁には、各省庁にまたがる様々な政策について、より総合的な調整を行っていただきたいと思います。また、国として新たなビジョンを示していただき、自治体が思い切った施策を展開できるよう、十分な地方財源を確保していただくことも期待しています。 こども家庭庁は、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、政策を社会の真ん中に据えるこどもまんなか社会の実現を目指しています。 そのためには、子供や子育て家庭の声に耳を傾け、多面的で重層的な施策に反映させていくことが重要です。県では、既に、子ども・子育てプランに基づく様々な施策を、市町村や地域と連携しながら推進しています。 例えば、住民に身近な市町村において、母子保健や児童福祉の相談体制を強化するため、子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点の設置を進めています。今年度中に、それぞれ8割程度の市町村に設置される見込みであります。今定例会には、これらの相談にワンストップで対応し、必要な支援へとつなぐための体制整備を支援する予算を提案しています。 また、虐待を受けた子供などの権利擁護を推進するため、新たに専門の支援員を配置し、一時保護や施設入所時に子供の意見を聴くなど、子供の意向表明を支援する仕組みづくりを今年度から実施いたします。 県では、引き続き、子供や子育て家庭の声にしっかりと耳を傾け、関係機関と緊密に連携しながら、熊本の子供たちを誰一人取り残すことなく、心身ともに健やかに成長できる環境づくりに取り組んでまいります。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) くまもと家庭教育支援条例の成果についてお答え申し上げます。 家庭の教育力の低下が指摘されている中、子供たちの健やかな成長には、家庭教育への支援を総合的、継続的に推進していく必要があります。 そのため、条例施行を機に、部局横断的に施策を推進するくまもと家庭教育支援条例関係課連絡会議を新たに設置し、積極的な取組を進めてまいりました。 その結果、議員御指摘のとおり、条例施行時には4部局12課の53施策でしたが、10年目となる今年度は、5部局18課の71施策にまで取組が広がっています。 また、県民全体で家庭教育を支援する機運が醸成され、学校やPTA等が主体的に家庭教育への支援に取り組むくまもと家庭教育支援チームの登録が進んでいます。現在では、1,074団体に上り、親の学び講座などに取り組む団体が大幅に増加しております。 さらに、県が実施した調査によれば、ゼロ歳から小学3年生が午後10時までに就寝する割合は、平成25年度は71.1%であったものが、令和3年度には75.9%に上昇しております。このことは、条例の目的の一つである子供の基本的な生活習慣の確立が、家庭教育によって進んできている状況であると考えております。 今後も、関係機関と密接に連携し、くまもと家庭教育支援条例の基本理念の下、家庭教育力の向上を目指した施策を積極的に推進してまいります。  〔岩下栄一君登壇〕 ◆(岩下栄一君) ありがとうございました。 先般、あるところで、くまモンのおやじは一体誰かという話が出たときに、それは知事だろうと、くまモンのおやじは。だって、いつもべったりしてますからね。それで、県知事とされては、熊本県の子供たちの未来を掲げて、さらに努力をされることを期待します。 また、家庭教育基本条例につきましては、溝口議長あるいは内野先生あるいは橋口先生たちを中心に、大変努力をされてこの条例を立ち上げられました。これはもう全国的な話題になり、また、評判になっております。ぜひ、県議会も、みんなしてこうした問題に取り組みたいというふうに思います。 余談ですけれども、郷土作家の渡辺京二さんが、「逝きし世の面影」ということの中に、明治初年に日本に来日した動物学者モースの言葉を引用しています。モースは、御承知のとおり、東海道線大森の近辺で、大森貝塚を車窓から発見した人です。この人が、日本という国は本当に子供を大切にする国だと、子供はみんなにこにこして、親は一生懸命子供に関わっていると、こんな国があるのかというふうな感嘆の声を上げています。そういう時代もありました。 これからも、そうした日本中の子供が本当に幸せで、笑顔が絶えないような国になるように、我々も努力しなきゃいけないというふうに考えます。 それでは次に、プラスチックの問題です。 私らは、プラスチックに関係なく生きていくことは今のところできません。そういう中で、プラスチックごみが大量に垂れ流されている。そういうときに、本年4月より、プラスチック資源循環促進法という法律が施行されて、環境汚染の要因となる使い捨てプラスチックの削減を目指す新たな取組が始まっておることは御承知のとおりです。 2019年に家庭や事業者から排出されたプラスチックのごみは、850万トンに上り、一部は海に流出し、細かく砕かれたマイクロプラスチックは、さらに生態系に悪影響を与え、人体にも悪い影響が来るのではないかと危機感が高まっております。 こうしたことを踏まえ、新しい法律は、製造、販売、廃棄、回収など、いろいろな場面で資源循環を進めようという取組で、大量のプラスチックを扱う企業には削減対策が義務づけられております。また、市町村は、プラスチックごみを分別収集などに努める必要があります。 また、こういう中で、生態系に悪影響を及ぼし、人間にも危険な存在であるマイクロプラスチックの問題も加わります。 現在、世界では、年間3,000万トンのプラスチックが処理されずに環境に流出し、そのうち200万トン前後が海に流出して、海洋ごみとなっているのが試算されています。 日本では、2018年現在で年間900万トンのプラスチックごみが廃棄され、そのうち65%が焼却、再生利用が17%、8%が埋立てされております。それでも全プラスチック量のおよそ1%ないし2%に当たる14万トンが未回収で、さらにこの15%ないし40%が海に流出されていると言われています。 海洋ごみの7割が、安価で、軽く、腐食しないので、大変生活に利便なように思います。しかし、海岸に漂着したプラスチックごみは、紫外線にさらされ、酸素や水に触れて次第に劣化、また、海岸で波にのまれ、砂と擦れて、小さなプラスチック片となり、砕けていくんです。これがマイクロプラスチックです。 さらに、マイクロビーズと言われる球形の、玉の形のプラスチック粒が加わります。これは、化粧品などに混ぜ込まれているポリエチレン粉末で、洗顔料に入っており、洗顔後に排水溝から下水の中に入り込み、海に流れ込むのです。これらは、分解するのに数百年から数千年を要し、一たび自然界に廃棄された場合は、地球のどこかで永遠に残り続けるのです。 そこで、こうしたマイクロプラスチックをため込んだ魚類は、それを我々は食べて、人間がマイクロプラスチックに汚染されていくという悪循環です。健康被害を受けることは十分に予想されます。また、空中に巻き上げられたマイクロプラスチックは、大気を通じて体に取り込まれます。そこで長い年月体中に取り込まれ、健康被害を被ることは十分に予想されます。 その意味で、マイクロプラスチックの削減は、人類的な課題であり、生物、生態系の影響についての定量的な有害性やリスク評価などに関する科学的な知見が必要になってくると思います。 このような中で、自然に優しいプラスチックとして、生分解性プラスチックに期待が寄せられています。生分解性プラスチックは、自然界の微生物によって最終的には水と二酸化炭素に分解されるプラスチックのことです。自然環境の中で使用される製品使用後のリサイクルが難しい分野に限って用いられることが期待されています。 微生物系では、バイオポリエステル、バクテリアセルロース、化学合成系では、ポリビニールアルコール、ポリアミノ酸、ポリウレタン、天然物系では、キトサン、セルロース、でん粉などが原料です。 民間では、生分解性プラスチックを製造、加工する企業が、益城町内に生産等の拠点を設けています。同企業の生分解性プラスチックは、竹、お茶などの植物繊維が原料となっているということです。 そこで、県は、生分解性プラスチックに関する研究機関や民間企業などの動きに対してどのような支援をされていくのか、環境生活部長にお尋ねいたします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) 議員御指摘のとおり、本年4月にプラスチック資源循環促進法が施行され、前年度に提供したスプーンやストローなどの使い捨てプラスチック製品の量が5トン以上の大手スーパーやホテル等の事業者には、生分解性プラスチック等の代替素材への転換を図ることなどが義務づけられました。 県では、令和元年度にくまもと海洋プラスチックごみ『ゼロ』推進会議の提言を受け、プラスチック廃棄物の回収、排出抑制、リサイクルを3つの柱として、市町村や関係団体と連携して取組を進めております。 生分解性プラスチックへの転換は、排出抑制の取組の一つであることから、法律では義務化の対象外となった事業者にも、代替素材への転換等の啓発を行うこととしています。 また、県では、企業や大学等による廃棄物の排出抑制につながる研究や技術開発、施設整備等に対して補助制度を設けており、生分解性プラスチックなどの代替素材の開発も支援の対象としております。 さらには、こうした製品等を県で認証する制度を設けており、認証製品の周知や利用促進を図っているところです。 なお、議員御紹介の益城町の企業については、県としても、投資及び雇用要件を満たした際に立地促進補助金を交付する予定です。また、既に県庁内の喫茶店をはじめ、様々な飲食店に生分解性のストローを供給されており、関係市町村と連携しながら取引先拡大などの支援を行っています。 今後とも、生分解性プラスチックなどの代替製品への転換をはじめ、プラスチックごみ削減に向けた様々な取組を市町村や関係団体と連携しながらしっかりと進めてまいります。  〔岩下栄一君登壇〕 ◆(岩下栄一君) ありがとうございました。 この2~3日の全国紙に、海洋科学技術センターの「しんかい6500」が、海底6,500メートルの海底を紹介していましたけれども、6,500メートル下の海に人間が廃棄したプラスチック製品がたくさん落ちているということを聞いて、人間はどこまで地球を汚せばいいのかなと改めて思いました。 私も、「しんかい」――今6,500メートルまで潜りますけれども、「しんかい2000」に乗船して――20年ほど前ですけれども、海洋科学技術センターの「しんかい2000」に乗船してきましたけれども、錦江湾でした。錦江湾は200メートルぐらいしかありませんので、200メートルの海底には何もなかったんですけれども、ハオリムシという生命の起源となる環形動物が生息しておりました。熱水なんですね、錦江湾、桜島の。その温かい熱水の中に生物が生存しているということは、人類は、もともとは火山活動によって生じたという意見もありますし、あのリュウグウから持ち帰った岩石にアミノ酸が検出されているということで、生命の起源の探求が今から行われるということです。人間は何もかも万能だと思っておりますけれども、やはりこれから謙虚にやっていかなければいけないなというふうに思うわけです。 最後に、がん対策について、健康福祉部長にお尋ねいたします。 がんは、日本人の死因の第1位であり、3人に1人ががんで亡くなっています。これは年間38万人と言われており、生涯のうち2人に1人はがんにかかる時代であり、がんの撲滅は、国の大きな課題であります。 そこで、国は、平成16年に第3次対がん10か年総合戦略を策定し、19年4月には、がん対策基本法が施行されて、同6月には、がん対策推進基本計画が閣議決定したのであります。 国は、がん対策を総合的、計画的に推進するため、予防、早期発見をうたい、専門医師の養成、医療機関の整備、臨床研究など、環境整備に力を注いでまいりました。都道府県にがん対策基本計画の策定義務を課し、本県は、いち早く推進計画を策定したのであります。 申すまでもなく、がん対策の一番は、早期発見、早期治療であります。そこで、がん検診の主体は市町村でありますけれども、本県のがんの検診受診率の現状はどうか、また、検診の普及の取組として、企業、団体の受診促進のための連携はどの程度進んでいるのか、健康福祉部長にお尋ねいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症のがん検診への影響についてお尋ねします。 コロナ感染の中、コロナの感染を恐れるあまり、病院への受診を控える、また、医療機関も病床不足を考えて、コロナ感染の拡大を恐れ、集団検診を控え、延期しているところもあると聞いております。 この検診、受診の遅れから、早期発見、早期治療が遅れた場合もあると思います。これにより、がんの死亡者が数年後急増するのではないかという予測もあります。この現状あるいはこの予測についてどう考えるか、お尋ねいたします。 次に、平成25年12月にがん登録等の推進に関する法律が成立し、全国のがん情報を登録、集積、一元化、診療情報を正確に把握することが可能となりました。これにより、いわゆるビッグデータが集積されてますが、県はこれをがん対策にどう利用していくのか、お尋ねいたします。 次に、がんと診断されたときからの緩和ケアについて。 患者とその家族が可能な限り質の高い療養生活を送れるように、迅速、適切な緩和ケアを提供し、診断時、治療中、在宅医療などの様々な場面において切れ目なく提供される体制、がん患者の状況に応じて、身体的な苦痛だけじゃなく、心理的な苦痛に対する心のケアを含めた全人的な緩和ケアの提供体制を整備するなど、緩和ケア推進事業の現状についてお尋ねいたします。 最後に、先進医療についてお尋ねいたします。 佐賀県鳥栖市のサガハイマット、九州国際重粒子線がん治療に注目しております。先進医療の拠点であります。重粒子線がん治療は、炭素イオンを加速器で光速の60~80%に加速し、重粒子をがんの病巣に照射する放射線治療であって、病巣をピンポイントで狙い撃ち、がんにダメージを与えながらも、正常細胞のダメージは最小限にとどまるため、飛躍的な治療効果を上げることができます。 しかも、このサガハイマットのロケーションは、九州新幹線の鳥栖駅の真ん前にあり、文字どおりアクセスがよく、治療を望む患者及び家族の朗報となっております。私も、一昨年視察をしてまいりました。 もう一つは、鹿児島県指宿、メディポリス国際陽子線治療であります。切らないがん治療が売りで、体に優しい治療ですので、既に5,000件ほどの治療の実績があります。 そこで、サガハイマット、そしてメディポリス陽子線治療センターなどのがんの先進医療について、県はどのように評価されているのか、また、この治療費は高額になりますので、治療費の一部助成制度、治療費を金融機関で借りた場合の利子補給制度などについて、本県ではどうなっているのかを健康福祉部長にお尋ねいたします。 ○議長(溝口幸治君) 健康福祉部長沼川敦彦君。――残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔に願います。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) がん対策についてお答えします。 本県の令和元年の受診率は、約50%であり、県のがん対策推進計画に掲げる目標の55%以上に向けて、がん予防対策連携企業等として登録された28団体と連携し、受診率向上の取組を進めています。 本県のがん検診受診者数は、新型コロナの影響で、令和2年は、約25%減少しましたが、令和3年は、それ以前近くまで戻っています。発見の遅れによるがん患者の増加を懸念しておりますが、現時点では、明らかな影響は確認されていません。今後も、データを注視し、受診率向上に向けた啓発を積極的に進めてまいります。 また、がん登録のデータベースについてですが、本県の特徴や地域別の傾向などを分析し、的を絞ったがん予防対策の立案等に活用してまいります。 次に、緩和ケアについてですが、県内には緩和ケア専用病棟を持つ医療機関が16病院あるなど、体制整備が進んでいます。今後も、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進に努めてまいります。 最後に、先端医療についてですが、こちらの治療は身体的な負担が少ないとされ、治療の選択肢が広がるものと考えております。治療費は高額となりますが、保険適用範囲は徐々に拡大しており、本年4月からは、肝細胞がんなどの治療が保険適用となりました。 県では、先端医療に対する助成制度はございませんが、医療費の負担を軽くするための支援制度等をまとめた冊子を毎年度更新して提供するなど、寄り添った支援に努めてまいります。  〔岩下栄一君登壇〕
    ◆(岩下栄一君) ありがとうございました。 先進医療をぜひ導入していただきたいと思います。どちらも放射線なんですね、重粒子も陽子も。放射能は、害悪だけど、放射線は、そういう人間に有益な部分もございます。 以上で私の質問は全て終わりましたけれども、問題は、前の質問のとき申し上げましたけれども、加藤清正公が、全ては後の世のためという、次の世代のためを述べられました。私たちは、次の世代に何を残せるかを日々考え、県政に邁進していかなければならないというふうに思います。 本日は御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(溝口幸治君) この際、5分間休憩いたします。  午前11時3分休憩    ――――――○――――――  午前11時13分開議 ○副議長(髙野洋介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 岩田智子君。  〔岩田智子君登壇〕(拍手) ◆(岩田智子君) おはようございます。熊本市第一選挙区選出・立憲民主連合の岩田智子です。今日で11回目の質問になります。今日は、少し盛りだくさんの質問なので、早速、通告に従って質問に入りたいと思います。 球磨川豪雨災害からもうすぐ2年になります。改めて、お亡くなりになられた方々へ哀悼の意を表するとともに、被災された方々へお見舞いを申し上げます。 球磨川と共に暮らしてきた方々が、これまでに経験したことのない被害に遭われ、それでも、川が悪いわけじゃない、川と共に生きていくと、清流球磨川を守る行動を行っておられます。そのような思いを共有したいと思い、人吉市、球磨村に行ってまいりました。 災害後、何度もボランティアとして、人吉・球磨方面、八代市坂本町、芦北方面にも入りました。被災者の声を聴くため、現地の様子を見るために何度も訪ねました。熊本地震のときも、時がたつにつれ課題が変化していきましたので、改めて、亡くなられた方々の三回忌を前に、現状を知るために、現地の声を伺いました。 球磨村神瀬地区は、川内川上流から大量の土砂と流木が濁流とともに押し寄せました。保育園のプールを浮かべて住民が避難したニュースも流れた地域です。280世帯のうち31%の世帯が全壊や半壊となりました。約50世帯が仮設住宅におられます。 現在、村内と錦町の仮設におられるため、住民はばらばらの状態ですが、ふるさと再生の集いと名前をつけた意見交換会や炊き出しなど、地域のコミュニティー活動を続けておられます。会食や弁当配付などで安否確認をして、お互いを知り合っているそうです。大切な地域コミュニティーです。 また、この地域では、治水対策として、かさ上げが示されている地域でもあります。かさ上げ予定の高さよりも数メートル上まで水が来たのに、どうしてここまでの高さなのか、疑問に感じておられました。 人吉市大柿地区では、58世帯全部が被災しました。当時の区長が水位計サイトを10分置きに確認し、黒板に書き入れ、全世帯に避難を呼びかけ、全員が避難できました。お米作りに最適な土壌で、献上米も作られる地域です。そこには遊水地計画が示されています。そのため、移転を余儀なくされているそうです。 また、被災された地元住民の方々は、亡くなられた方々がどういう状況だったのか、水害がどのように発生したのかを、当時の記録を基に検証を重ねておられます。動画や聞き取り文書、写真など被災資料を持っておられ、行政と共同検証していくことができればと願っておられます。 さて、球磨川河川整備計画原案が4月4日提示され、そして、原案についての公聴会が開かれました。4月4日から4月15日までの期間告知されました。ネット上にも、ユーチューブの解説とともに、150ページほどの原案が掲載されました。10地区33人の方が公述人となり、意見を述べられました。 熊日新聞の報道によれば、流水型ダム建設、整備を要望された方が4人、25人が流水型ダムに反対の立場で意見を述べられ、4人はダムには触れられず、河川監視カメラの設置や広報の徹底、避難計画の充実などを意見されたと記事になっていました。また、意見募集もされました。意見募集には、延べ455人から意見が届いたと聞きました。 知事は、2020年11月定例会の議案説明で、緑の流域治水という治水対策を表明し、復旧・復興プランを住民の皆様や各市町村と共有し「愛する地域で誰もが安全・安心に住み続けられ、若者が"残り・集う"持続可能な地域の実現」を全力で取り組むと決意を示されました。 あわせて、国でも、2021年4月28日に、気候変動の影響による降雨量の増加等に対応するため、流域全体を俯瞰し、あらゆる関係者が協働して取り組む流域治水の実現を図る流域治水関連法が成立しました。 そこで、球磨川水系河川整備計画原案に関する公聴会で出された意見や募集された意見を聴いてどう感じておられるのか、そしてこれらの意見をこれからどう生かしていくのか、知事にお尋ねをします。 さらに、地域の復旧、創造的復興に向けて、先ほど現状を述べた神瀬地区や大柿地区の住民の思いを受け止めたまちづくりを住民とどう協働していくのか、球磨川流域復興担当理事にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 球磨川水系の河川整備計画については、今なお1,200世帯の方が仮設住宅等での生活を余儀なくされていることを踏まえ、迅速かつ丁寧に、法に基づく策定手続を進める必要があると考えています。 4月4日に公表した計画の原案は、私が被災地や仮設住宅を訪問して直接伺ったものも含め、球磨川流域で開催した説明会や日々の行政を進める中でいただいた御意見等を国と共有した上で作成しています。 原案に対しては、パブリックコメントで、国と県合わせて延べ455件の御意見をいただきました。これに加えて、公聴会では、33名の流域住民から御意見を伺うことができました。 例えば、新たな流水型ダムについて、ダムを造れば清流球磨川を失うという否定的な御意見や、反対に、下流域の生命、財産を守るためにダムは必要という早期整備を求める御意見もありました。 また、宅地かさ上げや遊水地などの防災の面だけでなく、水源地域の振興や山林の保全の観点など、多岐にわたる御意見をいただいています。 改めて、これまでも住民の皆様から伺ってきた球磨川に対する深い愛情を感じるとともに、球磨川流域の環境への配慮を最大限尽くした上で、安全、安心を一日も早く実現させなければならないと再認識いたしました。 また、6月5日には、五木村を訪問し、村民の皆様への説明会を開催しました。これは、新たな流水型ダムを含む緑の流域治水の表明後、五木村や村議会の皆様の御意見を幾度となく伺う中で、村民の皆様に対して、私から直接、流水型ダムを決断した経緯や五木村振興にかける決意をお伝えしたいと考え、開催させていただいたものであります。 説明会では、住民の皆様から、流水型ダムが地域振興につながるのか、また、流水型ダム上流の五木村を安全にしてほしいなどの御意見、御要望をいただきました。 現在、いただいた様々な御意見を一つ一つ詳細に確認しており、今後、学識経験者や流域市町村長の御意見を伺った上で、速やかに計画を策定してまいります。 今後とも、国や流域市町村とも連携し、新しい河川整備計画の下、命と環境の両方を守る緑の流域治水の取組を推進してまいります。  〔理事水谷孝司君登壇〕 ◎理事(水谷孝司君) 令和2年7月豪雨災害からの復興に向けたまちづくりは、地域ごとに課題が異なることから、その地域住民の声を聴き、思いを受けながら進めていくことが重要です。 議員お尋ねの球磨村神瀬地区は、被災後、輪中堤、宅地かさ上げの対象地域に位置づけられ、住民懇談会等で熱心にまちづくりの協議が進められています。 昨年度、協議が始まった当初は、宅地かさ上げの高さについて、不安や疑問等の声が数多く投げられました。これを受け、国、県、村、そして住民が話し合い、地区全体をかさ上げする場合の具体的な高さを示すため、本年2月、住民の皆様と協働で地区内の電柱等にテープを貼る作業を行いました。 その後、先月末と今月初めに行われた説明会では、よりイメージしやすいよう、実際にかさ上げの高さまで盛土することを求める意見や、生活再建の目安となるよう、工事の具体的なスケジュールを示してほしいといった意見が多く出されるようになりました。 このように、地域住民と協働で取り組むことによって、住民の皆様の不安や疑問等に応えた新しいまちづくりに向けた議論を進めることができていると考えております。 また、人吉市大柿地区は、遊水地の候補地として、昨年11月に、その具体的な範囲、整備方法などの案が示されました。 この案に対し、本年2月、人吉市が大柿地区全戸を対象に戸別訪問し、地域住民の意向確認を行いました。その中では、全58世帯中74%が移転再建を希望され、76%が遊水地計画に協力すると回答されたことが確認されました。 この結果と地域の安全性、コミュニティー維持の観点から、本年3月、人吉市長が、地区全体で安全な場所に移転することが望ましいという考えを表明されました。 先週、この表明に基づき、人吉市が具体的な移転場所の案を示しながら、少人数に分けた懇談会を開催しましたが、先祖代々受け継いできた土地への愛着やこの地で営農を継続したいとの思いから、遊水地計画や人吉市の方針について反対する方もおられます。 県としては、これまで全ての懇談会に参加し、住民の皆様と車座になって意見交換を行うとともに、様々な観点から人吉市に助言等を行ってきました。人吉市は、再度戸別訪問を行い、引き続き、地域の今後の在り方について、住民の皆様と丁寧に議論を重ねる意向と伺っております。 まちづくりの主役は市町村であり、地域にお住まいの住民の皆様です。県としては、今後とも、市町村に対して助言等を行うだけではなく、住民の皆様から直接お話をお聴きし、国をはじめ、関係機関との連絡調整を行うなど、被災者お一人お一人にしっかり寄り添いながら、復興まちづくりを支援してまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 知事に答弁いただきました。 知事は、川辺川ダム白紙撤回をされたときのインタビューで、決断を理解してもらうには、ルールや透明性が必要です、マイノリティーの思いがどれぐらい重いのかをめぐらせないと、最大多数の幸福にはつながっていかないと思いますと言われています。とても深い言葉だと思っています。被災者の皆さんの思いを込めた一つ一つの御意見を、御確認だけではなく、受け止めていただいて、受け止めたものは、やっぱり何らかの形で返していただきたい、そういうふうに思っています。 「公共事業は 法に叶い 理に叶い 情に叶うものであれ」、この言葉は、下筌ダムに反対をされた蜂之巣城の城主室原さんの言葉ですけれども、受け継ぐべき言葉だと私は思っています。 そして、協働というのは、一緒に汗をかいて、結果や成果を一緒に味わうことなんですね。お互いにプラスになって相乗効果を得られること。黄色いテープを貼った住民の方々も、なぜこの高さなのか、いまだにちょっと納得をされていないところもあって、答えてくれていないというふうに言われています。住民の疑問は聞くべきですし、丁寧に聞いてらっしゃると今答弁がありましたので、その積み重ねを大事にしていっていただきたいと思います。そして、地域コミュニティーをしっかり守っていただきたいという思いで、今回質問をさせていただきました。どうぞよろしくお願いしたいと思います。 次の質問に移ります。 2022年3月17日に開かれた熊本県のよかボス AWARDS 2021にリモート参加をしました。ニッセイ基礎研究所の人口動態シニアリサーチャーの天野馨南子さんの「データで読み解く「熊本県の人口減少の解決策」」という講演を聞き、衝撃を受けました。 熊本の若者の熊本離れに対しては、大きな課題として受け止めていたのですが、今回の講演で課題を深掘りすることができました。 まず、課題の一つ、出生数です。 1970年から2020年の50年間で、出生数の減少率が48%です。1995年から2020年の25年、四半世紀で減少率27%なので、少子化が加速していることは明白です。こうなる原因を突き止め、改善していかなければなりません。 景気が悪くなると、女性のほうが打撃を受け、首都圏へ仕事を求めて移動すると言われています。女性活躍推進法で行動計画の策定を指定された企業の半数以上は東京の企業です。それらの企業は、女性採用の透明性などで女性に人気があり、地方の女性たちがどんどん東京へ行くということが起こっています。 また、コロナ禍では、東京都に男性の2.2倍の女性が流入しています。つまり、都心に女性だけが集まるような現象となっています。若年層女性が地方からいなくなっているということです。出生数の低下には、こういう原因もあります。 そして、熊本の出生減は、初婚同士の婚姻減が原因です。カップルが激減しているということです。既婚者支援問題ではありません。熊本のカップル減は、女性が男性より県外流出が多いこと、それも20代前半女性に集中していることが原因の一つです。 若年女性が熊本から都心へ転出する根っこには、男尊女卑の意識や性別役割分担意識があると言われます。このままであれば、出生数の減少だけでなく、労働人口減、多様な市場の消費人口減、将来人口減となり、経済環境はますます悪化していきます。女性が熊本で選びたくなる仕事、働きやすい労働環境をつくることは喫緊の課題です。 熊本県では、ブライト企業の取組で、女性を含めた若者の県内就職の促進に既に取り組んでおられますが、企業側が若い世代の価値観を理解することも必要だと思います。 そこで、商工労働部長に若年女性の雇用創生についての取組について質問します。 次に、婚姻減についてですが、私は、今まで、婚活などの結婚支援について、結婚など個人の自由なので、そのあたりに行政が介入することに違和感を覚えていました。しかし、この10年で男性の1.3倍の女性が移動で減少している中、ましてや、コロナ禍の中で、出会いや結婚ということがこれまで以上にできにくくなってきていると感じますし、未来を考えると、どうにかせねばと思い始めています。結婚したいと思っている人たちへの支援は必要だと思います。 最近は、マッチングアプリで知り合って結婚という話は当たり前になってきました。マッチングアプリについては、詐欺被害などの問題がコロナ禍で問題になっていますが、利用者は増加中です。 島根県では「しまコ」というマッチングアプリを作っていますが、なかなか登録が増えず苦戦しているようで、安心、信頼の強みをなかなか生かし切れていない状況があるようです。 愛媛県では、結婚支援センターを2008年に開設されました。去年からはオンライン婚活も始められ、順調だと聞いております。 結婚新生活支援事業という結婚に伴う新生活のスタートアップにかかるコストを支援する事業がありますが、熊本県45市町村のうち、実施されているのが17市町村という現状もあります。 そこで、積極的な結婚支援について、健康福祉部長に伺います。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) まず、若年女性の雇用創生についてお答えします。 議員御指摘のとおり、若い女性の県外流出を防ぐためには、女性にとって魅力があり、働きやすく、生き生きと活躍できる労働環境の整備が重要であると考えています。 国においては、女性活躍推進法を改正し、女性の活躍推進に関する行動計画の策定とその公表義務の対象企業が、従業員300名以上の企業から101名以上に拡大されたところであり、県においても、国と連携して説明会を開催するなど、制度の周知を図っているところでございます。 また、若者の県内就職促進のため創設したブライト企業認定制度は、今年で8年目を迎えます。現在、318社を認定していますが、女性の活躍に向けた目標の設定や女性管理職率30%以上の達成など、女性にとって魅力的な職場であることも審査項目としています。 今年度からは、特に優秀な企業をプラチナブライト企業として認定する制度を新たに創設いたしました。新制度を活用し、引き続き、誰もが働きやすい職場環境づくりを進めてまいります。 一方、本県においては、TSMC進出等により、製造業における人材の確保が喫緊の課題となっております。 現在、国において、理工系に進む女子生徒や女性研究者を増やすための施策を強化することが検討されていますが、このような動きも、本県における女性の県内就職につながるものと期待しています。 また、今年度は、20代から30代の東京、大阪、福岡という大都市圏に転出された方などを対象に、女性の転出超過数が男性を上回る要因の調査分析を行うためのアンケート調査等を県立大学と連携して実施いたします。調査結果を庁内各部局で共有し、今後の県の施策につなげていきたいと考えております。 今後とも、国や事業者団体、大学等の教育機関と連携しながら、若い女性に、熊本に住み続けたい、熊本で働きたいと思っていただけるような労働環境の整備に全力を挙げて取り組んでまいります。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 国立社会保障・人口問題研究所の全国調査によると、若い世代の結婚をめぐる状況については、男女ともに多くの人が、いずれ結婚することを希望しながら、適当な相手に巡り会わないなどの理由で、その希望がかなえられない状況にあり、異性とうまく付き合えないという理由も増加傾向にあります。 また、熊本県では、25歳から29歳までの世代の男性の約7割、女性の約6割が未婚であり、全国平均を下回るものの、晩婚化が進んでいる状況です。 県外への転出者を含む若い世代が、結婚をはじめとする希望をかなえていくためには、結婚、妊娠、出産、子育て、仕事を含めた将来のライフデザインを描くことが大切であり、そのライフデザインを実現できる熊本を目指す必要があります。 そのためには、結婚支援と併せて、将来安心して子供を産み育てる環境を整えていくことが求められています。 今年度は、高校生、大学生などの若い世代が参画するイベント等を通じて、結婚や子育てなど、自身のライフデザインを考える機会を提供するとともに、社会全体で結婚を応援する機運をさらに盛り上げていくこととしています。 議員御指摘の結婚新生活支援事業につきましては、昨年度、県が主導して、市町村と連携した取組を県内に広げていくことにより、国の補助率が3分の2に引き上げられました。その結果、昨年度は、17市町村の実施となり、今年度は、さらに拡大する予定です。 また、少子化対策総合交付金事業を活用して、35市町村が婚活イベントの開催や結婚相談窓口の開設等を行っており、結婚支援の取組は、着実に広がっております。 このほか、県では、市町村や企業と連携しながら、社員の結婚や子育てを応援するよかボス企業の取組と併せ、昨年度から、婚活サポーター等を「まちのよかボス」として任命し、地域ぐるみで結婚、子育ての機運醸成や環境づくりを図っているところです。 こうした取組を通じて、高校生、大学生などの若い世代が、将来のライフデザインを希望を持って描くことができ、そのライフデザインを実現できる熊本を目指してまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 講演をされた天野氏が、この話の後、一人一人、行動をどう変えるかということに熊本県の人口の未来がかかっていますとおっしゃいました。そして、この仕事は男の仕事、この仕事は女の仕事といった雇用者側の古い固定観念で性別による役割分担をしているケースが残っていて、男女関係なく、多様なライフデザインを組み立てられる労働市場が地方に根づかなければ、女性を呼び込むことは難しいし、未婚率も上がると言われました。もう本当にどきっとしました。そのとおりだと思っていますので、今の答弁で、しっかりと、女性が働きやすい、働きたいと、ここにいたいというような熊本県づくりをやっていかなければいけないなと思っています。 ブライト企業の周知は進んで、今年度からプラチナブライト認定の新設を展開されるということで、期待をしたいと思います。 当事者の転出の要因アンケート調査は、とても興味深く、改善の手がかりになるのではと思っています。この問題は、熊本だけの問題ではなくて、地方都市が抱える問題です。待ったなしだと思っています。 結婚支援については、若い世代のニーズを捉えての支援に力を入れていただきたいと思っています。私も、まちのよかボスにならんといかぬなというふうに思っています、はい。人口がどうにか減らないようにしていかなければと思っています。 次の質問に移ります。 生理の貧困問題については、これまでも県議会で質問されていますが、私は、今回、一女性として、この問題を取り上げます。 生理の貧困と国が名づけましたので使いますが、私個人としては、経済的な支援、女性の健康を守るということで、具体的にお聞きしたいと思っています。 熊本県内の各自治体の議会でも、女性議員を中心に、この問題について数多く取り上げられ、何らかの施策が進められている地域があります。 全国のこのような状況に対し、厚労省は「生理の貧困」が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査を実施し、3月23日に結果を発表しました。 その結果を見ますと、新型コロナウイルス発生後、生理用品の購入、入手に苦労したことが「よくある」「ときどきある」のは、回答者の8.1%で、その割合は、年代別に見ると30歳未満で、世帯年収別に見ると300万円未満の者で、それぞれ高くなっていました。 購入、入手に苦労した理由は「自分の収入が少ないから」「自分のために使えるお金が少ないから」「その他のことにお金を使わなければいけないから」などが挙げられていました。 生理用品を購入、入手できないときの対処法として「よくある」「ときどきある」を合計した割合が最も高いのは「生理用品を交換する頻度や回数を減らす」、次いで「トイレットペーパーやティッシュペーパー等で代用する」、家族や同居者、友達に「生理用品をゆずってもらう」でした。 生理用品の購入、入手に苦労したときの対処法として「生理用品を交換する頻度や回数を減らす」を選択した人に対して、生理用品を購入、入手できないときの身体症状について尋ねたところ「かぶれ」「かゆみ」「おりものの量や色の異常」などについて「よくある」「ときどきある」の合計は、いずれも半数を超えていました。 生理用品を購入、入手できないことを理由とする社会生活への影響については「プライベートのイベント、遊びの予定をあきらめる」「家事・育児・介護が手につかない」「学業や仕事に集中できない」などが挙げられました。 居住地域で行われている生理用品の無償提供の認知については、制度を知っている人のうち、利用したことのある人は17.8%のみでした。市区町村での無償提供を知っていたが利用しなかった理由として、「必要ないから」のほか「申し出るのが恥ずかしかったから」「人の目が気になるから」「対面での受け取りが必要だったから」などが挙げられていました。 このような結果を見てみると、生理用品の経済的な支援は、女性の健康を守ることにもつながることが分かります。 生理ということに対し、私の経験や若い人たちに聞いたところによると、月に1度、大体28日周期ぐらいで5~6日続き、2日目ぐらいが一番多いと教えられます。しかし、一人一人違うんです。始まってずっと1か月も続いたことがあるとか、多いときは漏れていないか心配だとか、自分の体がおかしいんじゃないかとか、それぞれ不安があります。急に始まるときもあります。こっそりかばんの中からナプキンを取り出したり、友人にもらったり、保健室に行ったりもします。これまでも、学校では保健室にありますからという答弁でした。 日頃から、学校では、保健室で気軽に相談できるよう働きかけを行っていると思います。しかし、生理用品の困り感について、保健室に相談することをためらう子供たちもいます。 ある学校では、トイレに常備してあり、そこにメッセージをつけていたら、これまで保健室に入れなかった子供がやってきて、そこで生理用品を使ったことがきっかけで生理や体の話を養護教諭とでき、子供の悩みを知ることができたと聞いています。 学校においては、経済的な理由等により家庭で生理用品を準備できず、それを伝えられない子供たちに生理用品を提供することで、子供たちの健康を守ることができると考えます。 そこで、公共の施設、県立学校のトイレに生理用品を常備できないか、環境生活部長と教育長に質問をいたします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) 公共施設での対応についてお答えします。 新型コロナウイルスの感染拡大により、女性の経済的困窮が顕著となり、それまで声を上げにくく潜在化していた生理の貧困の問題が明らかになりました。 経済的困窮により生理用品が購入できないなどの状況は、女性の心身の健康等に深刻な影響を及ぼすおそれがあり、憂慮すべきことです。 これまでに、県内でも複数の市町村が、子育て支援の窓口や保健福祉センター等で、生理用品の無償配布等を実施しています。 県では、昨年度、国の交付金を活用し、県内3か所で、コロナ禍により困窮した女性のための相談会を実施しました。開催に当たっては、地域の女性支援団体、子育て支援団体等と連携し、新たなネットワークを築くことができました。また、会場では、県や市町村の相談窓口をお知らせするカードと併せて、生理用品の配布を行い、その中で、女性の切実な声を多数お聞きし、今後の生活についての助言や各種支援制度の周知等を行いました。 今年度は、男女共同参画センターなど一部の公共施設のトイレに試行的に生理用品及び相談窓口カードを設置し、無償で生理用品を提供するとともに、経済的に困窮されている女性の方々からの相談につなげたいと考えています。 そして、利用状況や利用された女性の方々の声、女性支援団体等の御意見を踏まえ、今後の対応をさらに検討してまいります。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 県立学校での対応についてお答えいたします。 生理用品については、現在、全ての県立学校において、様々な理由で用意できない児童生徒のために、保健室や職員室に常備しています。また、保健室では、生理用品の配付と併せて、養護教諭等が積極的に児童生徒の様々な悩みに対応しているところでございます。 しかし、議員御指摘のように、生理用品の困り感については、声を上げにくい事柄であり、潜在化していることも考えられます。 そのため、県教育委員会では、本年6月から、試験的に県立学校6校で、これまでの保健室や職員室に加え、カウンセラー室や教室に近いトイレにも生理用品を常備することといたしました。7月末には、設置場所ごとの使用枚数や使用理由等についてのアンケートを行い、児童生徒のためにどのような提供方法がいいのかなどについて検証することとしております。 今後も、生理の貧困に係る児童生徒の悩みに対して、相談やサポート体制の充実を図るなど、学校生活を安心して送ることができるよう、児童生徒に寄り添ってしっかり検討してまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 教育長が今言われたように、生理用品の困り感とか生理に関する体の悩みとかは、なかなか声を上げにくいんですね。潜在化をしています。今回、前向きな取組をお答えただきましたので、今後の検証をお願いしたいと思います。 それから、公共施設に関しても一歩進んだお答えで、自分は取り残されてない、ここに来たら安心してそれを使えるというような思いの人が少しでも増えればと思います。そして、自分の体のことを相談につなげていくとか、生活のことを相談につなげていくという形ができればなというふうに思っています。 民間でも無料ナプキンを提供するサービスが始まっていて、OiTr、オイテルと簡略化して言うんですけれども、オイテルというサービスが普及してます。トイレットペーパー同様に、無料で生理用ナプキンが常備される世の中にしたいというコンセプトで、ナプキンの無料提供をされています。ショッピングモールとかオフィス、自治体の男女共同参画センターや自治体の庁舎、そして大学などにも設置をされています。群馬県はここを活用されているみたいなんですけれども、これは、SDGsでいえば、ジェンダー平等を目指す取組です。 それから、スコットランドという国では、生理用品の無償化に関する法律ができました。そして、生理の貧困という言葉ではなく、生理の尊厳という言葉が提案されています。私も、尊厳という言葉を伝えたいと思っています。 それでは、次の質問に移ります。 LGBTという言葉とともに、多様な性を認め合うということの大切さが少しずつ広がりを見せていますが、ステレオタイプな決めつけや事実ではない思い込みなどがまだ多くあります。当事者の方々にとっては、まだまだ暮らしやすいという状況ではありません。 学校では、校則の見直しとともに、多様性を認め合うということで、制服や髪の毛の色、髪型など、生徒会と学校がしっかり話し合い、改善されているという報告がありました。少しずつ進んでいるなと思います。 先日、分かったつもりだめという見出しで、LGBTがまだまだ正しく理解されていないという新聞記事を読みました。当事者アンケートや当事者への取材を続けておられる宝塚大学の日高教授が行政や企業向けに作られた教材で啓発をされているという記事でした。 分かったつもりというものが一番怖いと思います。前述の日高先生は、高校生を対象に調査をされています。 奈良県や三重県などのデータがあります。 三重県の1万63人の高校生の調査結果を見てみますと、当事者であると答えた生徒は全体の1割います。当事者だと答えた生徒たちは、自己否定、例えば自傷行為などの割合が高く、いじめ被害を受けたという経験の割合も高くなっています。女らしくないとか、男らしくないとか、ホモとかレズなどと言われ、無視や仲間外れをされたと答えています。また、学校に安心できる居場所があると感じている割合は、当事者のほうが低いという結果が出ています。 奈良県の高校生2,146人の1時間の啓発授業前後の調査結果を見てみると、ホモ、レズ、おかまなどの言葉は差別語だという問いに、そう思わないと答えていた生徒が61%もいたのが、授業の後では35%に減りました。正直同性愛のことは理解できないという問いに、そう思うと答えた生徒のうち42%がそう思わないに変化をしました。正しい理解が必要ですし、啓発も必要です。 そこで、教育長にお尋ねします。 当事者であると認識している生徒たちがつらい思いをしないためにどのように取り組まれていますか。そして、教職員や生徒に対する正しい理解や啓発をどのように進めておられますか。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 高校生の多様な性を認め合う取組についてお答えいたします。 県教育委員会においては、これまで、LGBT等の性的マイノリティーの生徒が学校内に在籍していることを前提に、相談及び支援体制の充実に取り組んでまいりました。 特に、教職員は、性に悩みを持つ生徒に対し、本人の心情に最大限配慮した上で、プライバシーの保護等を第一に考え、慎重に対応することが必要です。 このため、まずは、教職員の基本的認識を深めることができるよう、動画を使った性的指向、性自認に関する研修資料等を作成し、初任者研修や管理職研修など、あらゆる機会を通じて意識の徹底を図っております。 また、生徒に対しては、保健体育科や家庭科での多様な性の在り方などの学習をはじめ、性的マイノリティーの方による講演会やLGBT等のDVD教材の視聴等を通して、正しい理解を促すとともに、一人一人が多様な性を認め合うことができるよう、継続的な取組を進めています。 引き続き、性に悩みを持つ生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、学校における理解促進や啓発などにしっかり取り組んでまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 実は、文部科学省からは、これまでに何度か性自認や性同一障害――性同一障害という言葉は今年の1月からは使わないようになりました。などの対応についての通知が出ていますが、なかなか浸透していない現実があります。大切なのは、誰が当事者であるかという問題ではなくて、多様性を尊重する環境整備が大事なんです。校則や制服の見直しもその環境です。教師が信頼できる存在で、当事者の本当の理解者であることが安心を生みます。なので、研修をしっかりしていただきたいなと思いますし、言葉もきちんと使うことが大切だと思っています。 例えば、性的マイノリティーの方が5%存在すると聞いて、40人のこのクラスだったら2人はいるねというようなことを平気でクラスの中で言うようなことがないように、そのことこそが理解不足なんだということを学んでいただきたいなと思っています。 熊本の実態調査も行ってほしいと思っていますし、不登校やいじめ、今日もSNSのいじめの情報が新聞報道で出てましたけれども、いじめとか自殺などの防止にも、これはきっとつながると思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。 次の質問に移ります。 私が議員になって初めての質問で質問項目に入れていた外国ルーツの子供たちへの支援について、改めて質問をします。 そのときの田崎教育長は、2016年度から聞き取り調査をし、支援の必要な学校に日本語指導教員を7名配置、2017年度、小中学校の担当教員2名派遣、文科省発行の「外国人児童生徒受入れの手引」を参考に、本県独自の資料を作成し示していく、高校では各学校で支援をすると答弁されました。 日本語指導が必要な児童生徒の数は、2016年144人、2018年136人、2021年は、熊本市を除く速報値で83人となっています。 2021年、教育事務所単位で小中学校にいる子供たちを見てみると、ほぼ全ての地域に存在をします。家庭でよく使う言語については、中国語、フィリピン語、ベトナム語、英語などとなっています。 日本語指導が必要な子供たちの現状は、学習機会や支援機関の不足、日本語の力が不十分、母語発達支援の機会が不足、母語喪失の場合は保護者との会話が成立しないなどの問題があります。 熊本県では、日本語指導をNPO、民間企業が実施している場合や市町村が独自に実施している場合、市町村では実施していない場合などがあります。ちなみに、全国調査では、日本語指導を受けている子供たちは77%となっています。 NPO法人外国から来た子ども支援ネットくまもとが支援に入られている小学校、中学校を訪問しました。 中国から来た小学校2年生への指導は、個別に週2回2時間ずつ、言葉の音と意味、そして発音への指導が入り、僅か3か月の指導で、私に折り紙の折り方をきちんとした発音で説明しながら折れるようになっていました。 フィリピンから来た中学3年生の生徒は、母語も英語もよく理解していなかったのですが、同じような個別指導で自学もできるようになり、自分の自学ノートを見せてくれました。高校にも今年入学しました。 取組から漏れてきた方々が、夜間中学設置に希望を持つ方々ではないかと推察していますが、子供のときにきちんとした日本語指導を受けることは大切なことであり、誰一人取り残さないためにも、熊本県がかじ取りをしていくべきことではないかと思います。 大分県では、県内どこでも同じように指導、支援を受けられる持続可能な体制づくりとして、日本語指導ステップアップ事業が構築されています。 そこで、熊本県内の外国ルーツの子供たちへの日本語指導に差が生まれることなく、どの子にも同じように指導、支援を受けられる体制づくりについて、教育長に伺います。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 日本語指導が必要な子供たちへの支援体制づくりについてお答えいたします。 本県における日本語指導が必要な児童生徒の数は、議員御指摘のとおりでございますが、今後、TSMCの進出に伴う駐在員の御家族の来熊も予定されることから、県内における支援体制づくりは、より一層重要になると認識しております。 県教育委員会では、これまで、次のような取組を行ってまいりました。 まず、日本語指導の体制の充実でございます。 日本語指導の方法を学ぶため、国が実施する日本語指導指導者養成研修に、小中学校の教員を平成9年から継続的に派遣しており、派遣された教員がほかの教員に対して研修を行うことで指導方法等の普及を図っております。 次に、日本語指導が必要な児童生徒が居住している市町村への支援です。 県独自に日本語指導や受入れ体制に係る手引を作成し、市町村教育委員会に周知することで、小中学校において一定の質を担保した日本語指導が行えるよう努めております。 また、令和3年度からは、NPO法人外国から来た子ども支援ネットくまもとと県教育委員会による協議会を立ち上げ、小中学校の教員等向けの研修内容や市町村に対する支援の在り方等について検討を進めております。 県教育委員会としては、日本語指導が必要な全ての児童生徒が充実した学校生活を送ることができるよう、今後とも、市町村教育委員会及び関係機関と連携し、支援体制の充実に努めてまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 私があの質問をした7年前から、少しずつきちんとした日本語指導が広がってきてはいます。日本に来た子供たちに日本語を正しく習得させて学習保障をし、希望ある未来像を持てるようになるようにというふうに思います。子供たちにとって支援のない期間があるということは、その子にとっての失われた時間になります。子供の吸収力というのはすごいので、その1年、2年というところをしっかりと取り組んでいただかなければなというふうに思います。 それから、県教委に窓口を設置して、市町村への支援強化をお願いしたいと思います。 また、資格やノウハウがなければ、子供への日本語指導はできません。カリキュラムづくり、教師養成、そして言われたように担当者会議の予算を準備することをすぐに取りかかるべきだし、来年度から、高校での日本語指導が特別の教育課程にもなります。小中高と1つの窓口とするべきではないかなというふうに思っています。 先ほどの質問にもありましたし、答弁にもありましたけれども、TSMCとそこの関連会社にも、これから外国人の家族の方が入ってこられます。熊本に来た子供たちが、ここに来てよかったと言えるような日本語の指導や施策を共に考えていきたいと思っています。頑張りましょう、教育長。 では、最後の質問になります。 皆様は、香りの害と書く、いわゆる香害という言葉を御存じでしょうか。 政府によれば、香害を具体的に定義しているものではないということですが、化粧品や香水、合成洗剤、柔軟仕上げ剤などに含まれる化学物質のにおいによって、不快感や健康への影響が生じることを指す場合などに使われています。 独立行政法人国民生活センターが令和2年4月9日に公表した「柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供」によると、柔軟仕上げ剤のにおいに関して、毎年100件を超える相談が寄せられており、その相談内容を見ると、呼吸器障害、皮膚障害、感覚機能の低下など深刻なものもあります。 国会や地方自治体でもこの問題を取り上げられておりますし、先ほど述べたセンターへの相談内容等により、香り製品によって体調不良を起こす人が複数存在することを国は承知していますが、規制や成分表示などはなかなか進んでいません。 20年ほど前のことですが、私が教員時代、隣町の小学校の改築がありました。新しい校舎に入ってから、呼吸器や皮膚の疾患で転校した子供さんがおられました。転校先では治ったというふうに聞きました。化学物質過敏症、シックハウス症候群という言葉を聞いたのはそのあたりでした。 花粉症、アレルギー、アトピーなども、最初は原因も不明でしたが、今は病気として治療されるようになりました。 実は、私の元にも、数人の方々から、化学物質過敏症、特ににおいについてですが、相談が来ています。 私に届いた例をお話しします。 1つは、学校からです。学校では、給食エプロンを、当番が終わった後、洗濯をして次の当番に渡すということがされています。そのエプロンの柔軟剤のにおいで具合が悪くなり、どうにか規制ができないものかという相談、これは私も現役時代に経験をしました。外国製の香料入り洗剤がはやって、そのにおいが充満していました。いい匂いだと言う子もいれば、そのにおいが臭いと我慢できない子供もいました。 また、ある方は他県の出身なんですが、県内の大学を卒業し、熊本県で就職をされました。不調が現れ、30代になって化学物質過敏症と診断をされました。今は外出もままならず、化学物質に暴露しないように生活をされています。体調がよいとき、対面でお話をしました。外でした。私自身、できるだけ化学物質ではないものを使うようにしていますが、大丈夫なのかを心配しながら、風下に私が座る形でお話を伺いました。 熊本では、当事者の方々が、くまもとCS、ケミカルセンシティビティーの会を結成され、学習会や啓発活動をされています。一人ではなかったと、お互いに情報交換などをしながら活動をされています。 国では、昨年8月に、消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省の5省庁が連名で「その香り 困っている人がいるかも?」という啓発ポスターを発行し、「香りの強さの感じ方には個人差が」あること「自分にとって快適な香りでも、不快に感じる人がいることをご理解ください。」というメッセージを発しています。 化学物質でつくられた香り、においにより、つらい症状で外出もままならない、災害時に避難もできない状況で不安を抱えておられる方もおられる中、私は、自分にとって快適な香りでも不快に感じる人がいることをもっと県民に広く知らせていく必要があると考えています。 そこで、いわゆる香害に関する現状と県民への周知啓発について、環境生活部長にお尋ねします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) まず、香りの害、いわゆる香害の現状についてお答えします。 議員御指摘のとおり、国において、香害の定義は定められておらず、規制の基準や具体的な対応策等も示されておりません。 県の消費生活センターには、昨年4月から本年5月までに4件の相談があっております。 しかし、商品の香りと体調不良の因果関係が不明である現状では、消費者トラブルとして解決を図ることが難しい状況にあり、事案に応じて、法律相談窓口や医療安全相談窓口等を案内しているところです。 次に、県民への周知啓発ですが、国が作成した啓発ポスターを県の消費生活センター内で掲示しているほか、県内各市の消費生活センターで掲示していただいています。 県としては、いわゆる香害に関連し、悩まれている県民の方々がおられる現状を踏まえ、県庁ロビーや各総合庁舎等における啓発ポスターの追加掲示、県ホームページへの掲載など、関係部局と連携し、周知に取り組んでまいります。  〔岩田智子君登壇〕 ◆(岩田智子君) 化学物質過敏症という病気ですけれども、2009年に保険診療の病名として登録をされていますが、診断や治療を受けられる医療施設は、九州にはありません。 今回は、化学物質で製造された香り、においによって健康を侵され、家族とも一緒に過ごせない方々や暴露での症状で進学や就職などもままならないという方々がおられることを広く知っていただきたいと思い、質問をしました。きっと自分がそうなのだと思わずに、体調不良で社会生活に支障のある方々もおられるのではないかなというふうに思っています。孤立感や人間関係の悩み、仕事に行けないなどの経済的な悩みをどこに相談すればよいのか分からない方がおられます。 ツイッターを見ると、ハッシュタグで香害と出すと、物すごい数のツイートをされています。当事者の皆さんは、この問題は患者だけの問題ではなく、地域全体の問題だということを訴えられています。 今日答弁をされましたように、たくさんの方が集まるような場所に、そのポスターを掲示していただくということですので、強く要望したいと思います。あと、学校とか公共の交通機関などにもできればなというふうに考えています。 化学物質、先ほど岩下議員の質問にもありましたけれども、マイクロプラスチックもそれに含まれています。そういうものが蔓延している暮らしからエコロジカルなライフスタイルへとやっぱり変化していかなければいけないと思います。SDGsでいえば「つくる責任、つかう責任」の指標をもっと深めていくべきだと思っています。 これで私の今日準備した質問は終わります。次世代のために私も頑張ってまいりたいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(髙野洋介君) 昼食のため、午後1時15分まで休憩いたします。  午後0時13分休憩    ――――――○――――――  午後1時14分開議 ○副議長(髙野洋介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 前田憲秀君。  〔前田憲秀君登壇〕(拍手) ◆(前田憲秀君) 皆さん、こんにちは。熊本市第二選挙区・公明党の前田憲秀でございます。今回で15回目の質問に立たせていただきます。 ウクライナの情勢は、なかなか終わりが見えない状況であります。一日も早く終息に向かいますよう祈るばかりでございます。 今回も盛りだくさんの内容になりました。日頃皆様からお聞きすること、これまで質問したことをさらに深く追求できればいいのですが、早速質問に取りかからせていただきます。 初めに、デジタル戦略局の取組について質問させていただきます。 現在、国においては、地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていくことで、世界とつながるデジタル田園都市国家構想の実現が掲げられており、国、地方、民間において、多くの取組が進みつつあります。この根底には、デジタル技術によって、都市や地方に関わらない働き方や生活が可能になるものとの考えがあります。このことは、熊本県においても当てはまるものであります。 県でも、今年度、新たに専任の部署を設置するなど、DX推進の積極的な姿勢が打ち出されています。具体的には、今年2月に、蒲島知事と民間の有識者から成るDXくまもと創生会議において、県内の産学官全体におけるDXの方向性を示す羅針盤としてのくまもとDXグランドデザインが作成されたところであります。 同デザインは、県民幸福量の最大化という最大目標を実現するため、県民所得の向上と快適、安全な社会環境という2つのビジョンを掲げられており、その実現に向け、産業、農業、観光、ヘルスケア、防災、県民生活、教育等の7つの分野でデジタル技術活用の方向性を示されています。 県全体としてDXを推進していく際に、目指すべき大きな方向性を示すことは大事なことと考えます。一方で、県民所得の向上の面では、主に企業、農業関係者などの活動が、また、快適、安全な社会環境の面では、サービスの受け手である県民の利用が重要になってきます。 デジタル技術やDXというものについての理解や関心は、県民、企業の間で大きな差があるのが現状のようです。例えば、ビジョンにおいては、行政サービスのオンライン化、キャッシュレス化に向けた取組も掲げられていますが、この場合、県民に実際に利用してもらって恩恵を感じてもらうことが重要です。 身近な例として、自動車税の納付書があります。(資料を示す)ここに今回送付された現物を持ってきておりますが、今年度からキャッシュレスの納付の方法が変更になりました。こうした取組においても、県民に慣れてもらうことも必要ではないでしょうか。 極端な例かもしれませんが、一種のショック療法的な取組も検討していかないと、皆さん、お使いいただくこともなく、身近に捉えられない可能性もあるのではないでしょうか。 DXの推進は、社会全体の大きな流れであり、熊本県においても積極的に行うべきと考えます。県には、実際の企業活動、県民生活の場面で実践を進めていく役割が求められていると理解しています。 さらに、DXの役割は、デジタル化とは違います。デジタル化は、既に展開されています。タブレット導入等はデジタル化であります。このことを議会に置き換えるならば、課題であるギャップを見つけ、ギャップを埋めることで解決を図る、つまり、首長からの提案の選択肢を議会側からあぶり出し、それを少しでも増やす役割があるのではないかと感じています。 県では、今年度、デジタル戦略局を設置され、組織的にも拡充されました。熊本県全体としてDXを推進し、成果に結びつけていくため、今後どのように取組を進める考えか、デジタル戦略担当小金丸理事にお尋ねをいたします。  〔理事小金丸健君登壇〕 ◎理事(小金丸健君) DX、いわゆるデジタルトランスフォーメーションは、デジタル化により人々の生活をよりよいものに変革することを意味します。議員御指摘のとおり、DXは、単なるデジタル化ではなく、デジタルを手段として活用することで、人口減少などの地域課題を解決し、本県が目指すビジョンを実現していくための重要な取組となります。 県全体としてDXを推進するには、まずは、企業、団体や県民の皆様にデジタル技術の活用方法や利便性について御理解いただき、取組を促すため、機運醸成を図ることが重要と考えています。そして、デジタル技術の活用が実践され、それを参考に、ほかの取組が進んでいく好循環の形成も重要です。 このため、今年度、くまもとDX推進コンソーシアムを設置し、企業、教育機関、自治体など様々な団体と連携し、県全体での取組を進めていくこととしております。 コンソーシアムでは、各種イベントやセミナーの実施などを通じて機運醸成や情報の共有等を図り、産学行政の各主体によるDXの実践につなげていくこととしています。また、企業などの取組に対して財政的な支援を行う公募型の実証プロジェクトや大学等と連携した人材育成のプロジェクトなどを展開していくこととしています。 一方、行政自らのDXも積極的に推進してまいります。例えば、市町村と連携し、行政手続のオンライン化を進め、県民の利便性の向上を図るとともに、行政コストの削減に取り組みます。また、オープンデータの行政データを社会全体で活用する取組を進めていくことで、地域経済の活性化とよりよい生活環境の創造につなげてまいります。 DXは、一朝一夕に進むものではありませんが、企業や県民の皆様の御理解と実感が得られるよう、県庁一丸となり、スピード感を持って取り組んでまいります。  〔前田憲秀君登壇〕 ◆(前田憲秀君) DX、デジタルトランスフォーメーションは、進化したデジタル技術を浸透させて、人々の生活をよりよいものへと変革させるということであるかと思います。直訳すると、デジタルによる変容と言われます。県民にとって、何が変わったのか、何が変わっていくのかを一つ一つ示していくことが重要であるのではないかと思っております。 質問でも示しました自動車税の納付ですけれども、皆さん方も先月末で終わられたと思いますが、この中には、納付書、納税について、減免に係るお問合せ、通知書住所変更届が入っております。 何が変わったのか、変わっていくのかということなんですけれども、今回、ヤフー公金支払いがなくなりました。クレジット払いがなくなったと私は疑ったんですけれども、違いました。ペイペイも含めて、支払いが多岐にわたっていることでありました。 しかし、ペイペイで払おうと思ったら、残金がないと支払えないと。数万円ふだんから残高に入金をしているのかとか、提携しているクレジットカードではペイペイでは払えない等、まだまだ納税者への情報は乏しく、不親切であるような気がいたします。 そもそも、この納付書が今までどおり送られてくること自体、変革はされていないのではないでしょうか。私は、結果的に、クレジット払いのQRコードがあれば納付完了いたしました。寝る前に数分で終わります。 何年か前に自動車税事務所にお邪魔したときに、この封筒に納付書と案内書を入れる作業が大変なんですと、この納付書の規格も決まっているので、ぎりぎり入れて大変なんですという話を聞いたことがあります。変わったのか、これから変わっていくのか。 デジタル戦略局は、聞けば、今決まった席もなく、立って仕事ができるスペースも設けているとのことであります。 形は変わりました。後は、県民へ変わったんだとどれだけ示せるのか、利便性も含めて、便利さを感じさせるのかが問われるのではないでしょうか。身近なことから今後さらなる取組を期待します。よろしくお願いをいたします。 次に、アリーナ建設構想への機運醸成についてと題して質問させていただきます。 昨年8月「熊本の未来をアリーナで創ろう!」と題したシンポジウムが開催されました。新たなアリーナとは、プロバスケットボールチーム熊本ヴォルターズが、B1昇格へ向け、建設を目指す施設です。 Bリーグは、2026年シーズンまでに5,000人以上のホームアリーナを持つことなどをB1ライセンス交付の条件としていて、熊本ヴォルターズは、新しい候補地として、県内11施設を選定いたしました。 シンポジウムの中で、運営会社は、自治体と協議を進めること、今年中には建設地を決定したい、来年度、いわゆる令和4年度初めには具体的な発表をしたいとのことでありました。 また、昨年完成した沖縄アリーナの建設に携わった沖縄市の職員からは、周辺にはマンションやホテルができ、地域への経済効果もアップ、防災拠点などの機能も有し、地域の中核施設となっているとの報告がなされたと聞きます。 シンポジウムには、オンライン視聴も含めて、スポンサーなど関係者100名ほどが参加し、県からも、来賓として、田嶋徹副知事、熊本県議会熊本県武道・スポーツ振興議員連盟の松田三郎会長も参加されたと聞いております。熊本もアリーナ構想に一歩前進したとの印象を強く受けたのは、私だけではないのではないでしょうか。 その後、運営会社の経営陣の不祥事が発覚し、チームも、B1昇格へあと一歩のところで、来シーズンのB1昇格の夢は絶たれました。 他県の例を見てみると、先ほどの沖縄アリーナは、昨年公設でオープンしました。お隣の佐賀県は、同じく公設で今年度中に開設予定とのこと。さらに、長崎県は、民設で再来年の24年度に完成とのこと。B1で活躍する千葉ジェッツは、南船橋アリーナを民設で24年度に、先月ヴォルターズとプレーオフで争った西宮ストークスは、神戸アリーナを民設で24年度に、名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、愛知アリーナを公設で25年に計画しています。 さきのシンポジウムで候補に上がった自治体の思いや具体的な話は、県に何らかの情報があり、関わりを持てたのでしょうか。 アクセス鉄道の見直し議論が進んでいる中、豊肥線沿線の新たな交流や人流の結節づくり、熊本地震、豪雨災害被害からの創造的復興を目指す熊本県にとって、夢のある議論になるのではないかと思いますが、蒲島知事の考えをお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 先月まで行われていたBリーグにおいて、熊本ヴォルターズがB1昇格を目指して懸命に戦った姿は、県民に夢と感動を与えました。今回は、惜しくも昇格を逃しましたが、来シーズンこそは、悲願のB1昇格を勝ち取ってもらいたいと思います。 アリーナやスタジアムは、集客力の高い施設です。周辺産業への経済波及効果、雇用創出効果も期待できるなど、地域活性化の起爆剤となり得る潜在力を有しています。 スポーツ施設の整備の在り方については、第2期熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略にも掲げております。その中で、民間資金の確保等を含めて、県民的議論を深め、方向性を取りまとめることとしています。 熊本ヴォルターズでは、B1リーグの新基準を充足するアリーナの整備に向け、民間主導で様々な選択肢を検討されています。 熊本ヴォルターズが思い描くアリーナ構想は、とても夢のある話だと思います。7月には新体制を発足させ、新たな経営陣の下でアリーナの整備の検討を加速されると伺っています。 今後、具体的な構想が発表された際には、その実現に向けて県としても全力でサポートし、県民の夢や誇り、ひいては地域の豊かさにもつなげていきたいと思います。  〔前田憲秀君登壇〕 ◆(前田憲秀君) アリーナの整備はとても夢のある話。これまでも県営野球場や熊本武道館、なかなか前に進まないゼロベースの回答でありましたけれども、同じかなと。資金面や場所の選定では、簡単には進まないことは承知いたします。 本日、新聞記事にも、パークドーム熊本ができた当時の記事が載っておりました。あのときも箱物議論があったということでありますけれども、大型ドームを造るよりも、5分の1、4分の1の経費で済んだと当時の経緯が紹介されておりました。 夢のある話と思っていただけるのであれば、具体的な構想が発表された際には、県も、サポートではなく、夢の実現に向け、県の考えはこうだ、ぜひとも熊本へ投資をしてください等と、県としての発信の仕方もあるのではないでしょうか。特に、スポーツ施設整備に関しては、他県には勢いを感じております。夢の実現へもっともっと積極的に関わっていただければと願い、次の質問に移らせていただきます。 HPVワクチン接種機会の周知について質問させていただきます。 ヒトパピローマウイルスは、性交経験のある人の多くは、一生に1度は感染すると言われており、子宮頸がんのほとんどはこのウイルスの感染で生じるとのこと。日本では、毎年1.1万人が罹患し、約2,900人が死亡する、患者数、死亡者数ともに増加傾向にある大変深刻な病気であります。 近年は、若い世代でかかる人が増え、妊娠できなくなる女性が毎年約1,200人いると言われています。 ただ、この子宮頸がんは予防できるがんで、HPVワクチンは、世界保健機関、WHOが接種を推奨しており、110か国以上で公的な予防接種として実施されているのも事実であります。 日本では、一昨年前より、各知事宛てに、定期接種の対象者等への周知についての勧告がなされたところ。昨年9月定例会で、国からの再三の通知にもかかわらず、県内14市町村が個別通知を実施しておらず、早急に改善が必要ではないかと質問したところ、県は、直接該当市町村を訪問し、情報を確実に届けるよう積極的に働きかけを行い、県民にワクチンの正しい知識などの周知を行うとの答弁でありました。 また、昨年11月には、厚労省が、正式に積極的勧奨の再開を決めたところであります。 HPVワクチンは、半年から1年の間に原則3回接種のワクチンで、対象者には市区町村から通知され、併せて勧奨差し控えで接種機会を逃した女性には、希望すれば公費で接種できるキャッチアップ接種も行われています。 対象は、勧奨差し控えの間に対象年齢を過ぎた現在17歳から25歳の女性で、合計3回の接種を受けていないことも条件で、今年4月から25年3月までの3年間、無料で接種できることになっています。 厚労省によると、16歳までの接種が最も効果が高いものの、それ以上の年齢でも有効性があるとしております。 一方、ワクチンを接種した1万人当たり5人に重篤な副反応があるとの報告もあり、症状に苦しむ人に対して寄り添った支援を行うべきとして、各都道府県に協力医療機関を整備し、相談窓口も設けることを決定いたしました。 ワクチンの接種は、常に副反応などのリスクとがん軽減の有効性の程度の差で判断されるもので、患者の減少につながると期待されています。 また、世界では、多くの国で男性への接種も当たり前となってきております。2020年12月、日本でもようやく厚生労働省がワクチンの適用に男性を追加する方針を発表しました。 そこで、4点お尋ねいたします。 1点目に、個別通知を実施してこなかった市町村のその後の対応について。2点目に、積極的勧奨が再開された今、がん対策推進計画で予防策と周知をどこよりも強く訴えてきた県の今後の対応について。3点目、キャッチアップ接種対象者への周知と取組について。最後に、男性への接種についての本県の見解について。 以上4点について、沼川健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 1点目の接種対象者等への個別通知を実施していない市町村への県の対応状況についてお答えします。 県では、昨年9月定例会後、直ちに市町村を訪問した上で、個別通知の目的等を丁寧に説明し、必要な情報を確実に接種対象者等へ届けていただくよう働きかけを行いました。 その結果、ほぼ全ての市町村で個別通知が実施され、HPVワクチンの3回目の接種を終えた方の割合は、前年度の6.0%から24.5%と4倍まで改善しましたが、7割以上の方はまだ接種されていない状況でした。 今年度は、全市町村で7月末までに個別通知が実施される予定であり、さらなる接種率向上に向け、市町村と連携し、取組を進めてまいります。 次に、2点目の積極的勧奨再開後の県の対応及び3点目のキャッチアップ接種対象者への周知についてお答えします。 HPVワクチンについては、これまで積極的勧奨が差し控えられてきたことから、お一人お一人に対し、接種の判断に必要な安全性や有効性等の情報を確実にお届けする必要があります。 このため、市町村による接種対象者等への個別通知に加え、県では、今年度から、テレビ、ラジオ等の県の広報媒体を活用するなど、特に、接種期間が3年に限られるキャッチアップ接種対象者へ早期に情報が届くよう、周知の強化を図りました。 また、安心して接種していただくためには、接種前の不安や接種後の様々な症状に対応した相談、診療体制の確保も重要です。このため、相談を一元的に受け付ける県の窓口や接種後の副反応等に対応する医療体制についても、しっかりと周知してまいります。 最後に、4点目の男性への接種についてお答えします。 海外では、男性の接種も公費接種に含める国が徐々に増えていますが、日本では、国において具体的な議論はまだなされていない状況です。県としては、今後の国の動きを注視してまいります。 子宮頸がんに関しては、ワクチン接種による感染予防と定期的な検診による早期発見が対策の両輪となります。今後とも、ワクチン接種と検診の大切さをしっかりと周知してまいります。  〔前田憲秀君登壇〕 ◆(前田憲秀君) 個別通知は、全ての市町村で実施され、ワクチン接種も、昨年度で24.5%と前年度の4倍になったということで、とにかく周知をして御本人の判断を仰ぐ、このことだけは平等に行っていただければというふうに思います。 男性にも有効という話をしましたけれども、このHPV感染というのは、性感染症でありまして、オーストラリアでは男性88%、アメリカでは64%が接種という話も聞いております。また、これは、しっかりこれから議論をしていきたいと思っております。 次の質問に移らせていただきます。 ウィズコロナ、コロナ後の生活の在り方と題して、ゼロカーボンへの挑戦について、2点目が、観光需要喚起、インバウンドの再開について質問させていただきます。 新型コロナウイルスによるパンデミックにより、仕事や学校、流通が滞るなど、社会のあらゆる側面が抑制されました。これは、SDGs、持続可能な開発目標の真逆で、現代社会が持続可能でなかった一つの証左であると言えます。さらに、弱い立場の人がより大きな影響を受けるという現代社会の脆弱性を改めて浮き彫りにいたしました。 世界的な研究機関ネットワーク、持続可能な開発ソリューションネットワーク、SDSNの報告書の中に、日本に課題が残る事案として、目標13の気候変動に具体的な対策が指摘されています。つまり、日本が遅れているのは、社会と環境の持続可能性とのことであるわけです。 そこでまず、ゼロカーボンへの挑戦について質問させていただきます。 昨年の質問で、ゼロカーボンに向けた県民の理解と行動実践と題して質問しました。蒲島知事が国に先駆けて2050年県内CO2排出実質ゼロを目指すとの宣言を評価し、目指すべき方向性を明確化し、県民と共有することにより、ゼロカーボンに向けた取組を加速化することを具体的に示すべきと質問したところです。 県では、一人一人が主体的に取り組むよう普及啓発を推進するとのことで、具体的に何をすればいいのか、行動や目標を明確にすべきじゃないかと訴えたところでありました。 県は、くまもとゼロカーボン行動ブックを作成され、「あなたの一歩が、地球を守る大きな一歩になる。」「HOP・STEP・JUMP」「はじめよう!ゼロカーボン・くまもと」とありますが、どのような経過で作成、展開し、活用されるのか。 また、前回も問うたように、県民は、知事が発した2050年県内CO2排出実質ゼロを受け、どのような意識転換を図り、行動に移していくのが望ましいと考えるのか。 これまでの効果、今後の普及啓発に関して、小原環境生活部長にお尋ねをいたします。 次に、観光需要喚起とインバウンド再開について質問いたします。 コロナによる自粛生活が3年目を迎え、今後は、観光戦略のV字回復が期待されているところです。 県が実施しているくまもと再発見の旅は、ワクチン3回接種を要件に、4月から九州を対象に拡大されました。この再発見の旅は、現在、6月末まで延長していますが、観光庁の動きに合わせて実施期間が決められるため、宿泊事業者にとっては不安な面もあると聞いています。 そのような中、観光庁は、5月23日、外国人観光客の受入れ再開に向けた実証事業の概要を発表しました。感染防止策などの効果を検証し、6月10日から訪日観光客を受け入れるとも発表されました。 国は、6月1日から、1日当たり入国者数の上限を2万人に引き上げ、入国時の検査や待機は、入国者の8割で不要となると示しました。 日本旅行業協会や航空各社などは、入国者数制限の早期撤廃を求める一方で、感染拡大への不安も根強くあるようで、全国知事会は、訪日客の早期受入れ再開に加え、旅行先での感染対策を国が示すよう求めています。 政府は、実証事業結果を踏まえ、ガイドラインを作成し、早期受入れ再開に向けた明確な筋道を立てると示しています。 そこで、観光需要喚起策について、くまもと再発見の旅のこれまでの成果と今後どのように展開していくのか、ウィズコロナでの外国人観光客の受入れ再開に向けて、熊本県はどのように臨むのか、原山観光戦略部長にお尋ねをいたします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) ゼロカーボンへの挑戦についてお答えします。 ゼロカーボンに向けた行動を県民の皆様に実践していただくためには、地球温暖化が及ぼす影響と対策の必要性、さらには具体的取組とその効果を分かりやすくお示しし、県民の皆様と共有する必要があります。 そのため、県民お一人お一人に実践していただきたい具体的な行動に加え、CO2の削減効果、経済的なメリットなどを見える化したくまもとゼロカーボン行動ブックを作成しました。 行動ブックでは、具体的な行動を、すぐにできる行動、一歩踏み出す行動、さらにゼロカーボンを日常にする行動と、ホップ、ステップ、ジャンプの3つの段階で示しており、全ての県民の皆様に、できることからまず一歩、行動を始めていただきたいと思っています。 また、普及啓発については、様々な広報媒体や市町村を通じた啓発等に加え、各種団体や企業の研修会などに県職員が出向き、行動ブックを活用した講演などを行っています。 さらに、2050年を担う子供たちへの啓発も重要です。小学5年生が環境センターを訪れる肥後っ子教室の教材として行動ブックを活用し、子供のときからゼロカーボンを意識した行動ができるよう、環境教育を推進してまいります。 県民の皆様の御理解と小さな行動の積み重ねが、地球温暖化の防止、そして持続可能な熊本をつくることにつながります。 今後とも、ゼロカーボン社会の実現に向け、行動ブック等を活用し、県民お一人お一人にCO2削減に向けた行動を実践していただけるよう、全力で取り組んでまいります。  〔観光戦略部長原山明博君登壇〕 ◎観光戦略部長(原山明博君) まず、くまもと再発見の旅についてお答えします。 本県の宿泊者数は、令和3年の速報値で、コロナ前と比べ約4割減少するなど、大変厳しい状況にあります。 県では、冷え込んでいる旅行需要を喚起するため、昨年3月以降、感染状況に対応し、4度にわたり旅行助成事業、くまもと再発見の旅を実施してきました。 その結果、本年3月までに、延べ50万人以上の利用があり、助成額は25億円を超え、旅行消費額換算では、助成額の3倍以上の経済効果があったものと見込んでおります。ホテル、旅館をはじめとした関係者からも、確実に旅行機運が上向いてきたとの声をいただいています。 しかしながら、現状では、コロナ前の旅行需要まで戻り切れておりません。そのため、本年4月からは、利用対象者を九州全域に広げ、対象期間も6月末まで延長しています。 今後は、全国が対象となる国のGoToトラベルの再開もにらみつつ、切れ目のない需要喚起策を行ってまいります。 次に、外国人観光客の受入れ再開についてお答えします。 人口減少社会において、日本人観光客数は長期的に横ばい傾向にあることから、地域経済の活力確保のため、今後も、外国人観光客の取り込みは重要だと考えています。 このような中、今月10日から外国人観光客の入国が可能となり、海外の旅行会社が、添乗員つきパッケージツアーに限って募集できる状況になりました。当面は、1日当たりの入国者総数の上限が2万人と、コロナ前の7分の1にとどまること、入国は、福岡をはじめ国内主要空港に限られることなどの制約もありますが、失われたインバウンドの復活に向けた大きな一歩となります。 県では、この2年間、インバウンド再開に備え、オンライン商談会や観光地のライブ配信など様々な方法で、台湾や香港をはじめ海外の旅行会社と良好な関係を維持してきました。こうした関係をフルに生かすとともに、デジタルを活用したプロモーションを強化し、できるだけ早く熊本へ誘客できるよう進めてまいります。 一方、外国人観光客の受入れ再開に不安の声があることも承知しています。県民の皆様に安心していただけるよう、健康福祉部と連携し、関係機関に対し、外国人観光客の受入れ手順を分かりやすくまとめてお示しするなど、円滑な受入れに努めてまいります。 今後、外国人観光客も含めた誘客を加速し、観光産業の回復を本県全体の活力の創造につなげてまいります。  〔前田憲秀君登壇〕 ◆(前田憲秀君) ゼロカーボン、また、観光需要関係について御答弁をいただきました。 (資料を示す)紹介した「HOP・STEP・JUMP」ハンドブックです。皆さん、御覧になって熟読されていると思いますけれども、本当は、この内容について、しっかり皆さん方にも御報告をしたいと思ったんですけれども、ちょっと時間が押しておりまして、皆様方、ぜひこれを読んでいただければと思います。 私が言いたいのは、知事の発信に関して、県民一人一人が何に取り組めばいいのか、私はこれに取り組みます、あなたはこれに取り組んでという、もう少し身近なものを提示できないのかなというふうに思っております。 観光需要関係に関しては、コロナ禍での対応、本当に大変だと思いますけれども、原山部長を中心に、しっかり観光産業の回復を熊本県全体の活力増進として取り組んでいただくことを強く望みます。よろしくお願いいたします。 次の質問に移ります。 医療法42条施設、疾病予防運動施設の現状と認識について質問いたします。 少子高齢化に伴い、健康寿命の延伸が重要になり、運動、身体活動の果たす役割が非常に大きくなっております。こうしたことを背景に、平成4年の医療法改正により、医療法42条第4号に、医療法人の附帯業務の一つとして、医療が関与する安全かつ効果のある運動療法を提供する疾病予防運動施設の規定が新設されました。 医療法人は、本来業務に支障のない限り、定款に定めることにより、疾病予防運動施設、ここでは施設と言いますが、附帯業務として行うことが認められております。 なお、施設等のうち、一定の条件を満たす運動療法施設として厚生労働大臣に指定されれば、利用者が支払う施設利用料、いわゆる月の会費は医療費とみなされ、所得税法に規定する医療費控除を受けることができます。しかし、県民のみならず、医療現場にもあまり知られていない現状があります。 平成28、29年度の報告書でございますけれども、健康・体力づくり事業財団の調査報告書があります。背景には、収益上、黒字化できない場合が多くあるようです。また、一人一人の患者さんに合わせた運動プログラムをつくり、運動の継続を促すノウハウを有する健康運動指導士の人材不足も考えられています。 私は、この医療法42条施設は、利用していただくことで地域の皆様の健康に貢献できる素地を持っていることから、医療法人と地域の皆様のどちらにもよい影響をもたらすものと考えています。 県は、熊本県健康増進計画、第4次くまもと21ヘルスプランを策定し、健康づくりの基本計画を示しています。その中には、生活習慣病発症予防、重症化予防や次世代、高齢者の健康づくりの目標達成に向けて取り組んでいると理解しています。この計画も、来年度で区切りを迎え、次のステップへ検討していく段階と認識しています。 ほかにも、くまもとスマートライフプロジェクトでは、健康寿命を延ばすための6つのアクションをテーマに掲げ、県民に向けて健康づくりへの意識啓発を実施しています。また、蒲島知事自ら、人生100年くまもと健康づくりに取り組んでおられます。 そこで、県民の健康増進を後押しし、生活の質の向上推進に向け、この医療法42条施設の熊本県での現状と認識、次期ヘルスプランへの反映について、沼川健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 医療法42条の疾病予防運動施設の現状と認識についてお答えします。 同施設は、医療法人が、附帯業務として、疾病予防のため、生活習慣病患者とその予備群の方に対し、適切な保健指導及び運動指導を行う施設です。医師の診察や健康運動指導士の指導を受けながら運動に取り組めることから、疾病予防に有効なものと考えます。 現在、県内で運営されている施設は、6施設にとどまっており、そのうち2施設は、施設利用料が医療費控除の対象となります。 このように施設数が少ないのは、施設自体の認知不足や健康運動指導士等の人材確保、施設単体での収支面などの課題が考えられます。 このため、まずは同施設の概要を県ホームページなどで医療関係者や県民へ周知してまいります。 今後、次期くまもと21ヘルスプランの策定に向けて、県内の同施設の運営状況等を把握し、関係者の意見を伺いながら、治療中でも安心して運動できる施設としての位置づけを検討してまいります。  〔前田憲秀君登壇〕 ◆(前田憲秀君) 私も、今月、定期健診の日程でありますけれども、診察で常に言われるのは、運動していますか、運動しましょうというのは必ず言われます。つまり、この運動が、ドクターの指示で健康運動療法士さんの指導を受ける体制になれば、フィットネスの会費が医療費控除の対象になると、これはすごいことだなと、運動する機会が増えるんじゃないかなというふうに思って質問させていただきました。 医療機関とフィットネス事業のマッチングも含めて、情報収集をぜひお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、がん患者の実態と支援策について質問いたします。 コロナ禍のがん検診、緩和ケアなどのがん対策については、午前中の質問で取り上げられ、県計画に基づき、しっかり進めていくということでありました。引き続き、施策をしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 私からは、がん患者の実態を踏まえた緩和ケアの推進とがん患者への支援策についてお聞きします。 国立がん研究センターが今年3月に実施した終末期の療養生活に関する実態調査の結果、がん患者が亡くなる直前の1か月間、体の苦痛が少なく、穏やかな気持ちで過ごせたとの答えは4割台だったとの結果で、がんの緩和ケアの提供体制を一層強化する必要がある結果でした。 緩和ケアの実施は、公明党も強力に推進し、2007年に施行されたがん対策基本法に盛り込まれ、医療従事者向けの研修やがん診療連携拠点病院の専門チームを設けるなどの取組が進められているところです。 今回の調査結果では、医療者が、患者のつらい症状、不安や心配を和らげるために努めたとの回答は8割以上に上り、取組が一定の成果を上げていると言えます。一方で、緩和ケアの専門医が、質、量ともに十分でないことが指摘されています。多様な状況に対処できる専門医の養成に力を注ぐことが今後の課題であるようです。 また、最期の療養場所や蘇生措置の実施については、医師と患者の間で話合いがあったとの回答は3割程度だったそうで、緩和ケアについては、終末期だけでなく、がんを宣告された衝撃を和らげ、安心して治療に臨める取組を望むものでもあります。 さらに、14歳以下のお子さんと15歳から39歳の若者、いわゆるAYA世代のがん患者への支援も極めて重要です。 この世代は、人生の転機を迎え、様々な悩みに直面することが多く、精神的なサポートはもちろん、きめ細かい支援をさらに推進していくべきであると思います。 今、日本では、年間100万人ががんと診断され、生涯のうち2人に1人ががんにかかると言い、いつ誰がなってもおかしくない身近な病気となっています。早期に発見できれば治癒でき、がんと向かい合いながら日常生活を送られる方も増えてきています。 がん患者が治療などで脱毛した際、医療用ウイッグ、かつらや医療用帽子を着用することがあります。過日、がん患者さんの話を聞く機会があり、特に女性から、医療用かつら、ウイッグは高額で、なかなか体に合ったものには至らないとの話でした。 県下でも、大津町と益城町では、購入の際に独自で補助があるとのことですが、県下で一律に支援はできないものでしょうか。 さらに、前立腺がんや膀胱がん患者の悩みに応え、男性トイレの個室にサニタリーボックス、汚物入れを設置する事例が、一部の自治体や商業施設に広がっているとの報道がありました。 統計によると、2018年に前立腺がん、膀胱がんと診断された男性は、約10万1,000人。ある膀胱がんの患者さんは、尿漏れパッドをかばんに入れて持ち帰っていたといいます。 尿漏れパッドは、介護用、女性用など、年間67億枚も生産され、潜在的に捨て場所に困っている人は多いと言われています。このように、がん患者へのケアは様々であります。 そこで質問です。 緩和ケアの県下の課題と対応、がん患者への支援策、県庁や公共施設等の男性用トイレへのサニタリーボックスの設置などについて、沼川健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) まず、緩和ケアについてお答えします。 緩和ケアについては、専門人材の育成と正しい知識の普及啓発が課題となっています。 そこでまず、専門人材の育成については、県内21のがん診療連携拠点病院で、治療方針についての説明や意思決定支援など、患者の立場に立った緩和ケアに関する知識や技術を学ぶ研修会を行っています。これまでに、医師を中心に、修了者は4,000人を超え、専門人材は、着実に増加しています。 また、精神科医や看護師などの多職種による緩和ケアチームを対象とした研修会や熊本大学病院と合同で症例検討会を開催するなど、専門人材の質の向上にも取り組んでいます。 次に、正しい知識の普及啓発については、これまで、繁華街でのパネル展や県民公開講座の開催、SNSによる啓発動画の配信などの取組を進めてまいりました。 今後も、緩和ケアは、終末期特有の治療法ではなく、がんと診断されたときから行うものであることや、がんになっても自分らしく生きるためには、今後の治療について医療従事者と十分に話し合う必要があることなど、正しい知識の普及啓発に積極的に取り組んでまいります。 次に、がん患者への支援策についてお答えします。 議員御指摘のとおり、いわゆるAYA世代のがん患者には、就労や結婚、出産などへの支援が重要となります。 そこで、拠点病院内に設置されたがん相談支援センターでは、患者の状態に応じた多様なニーズに対応できるよう、就労等に関する情報の提供や相談支援を行っています。 また、県では、AYA世代の患者が将来子供を出産できる可能性を残すための卵子凍結等に対する助成も行っています。 今後も、AYA世代が抱える様々な悩みや不安の軽減を図るため、一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。 さらに、このたび、議員から、医療用ウイッグの購入に対する支援や男性トイレへのサニタリーボックスの設置について御提案をいただきました。 がんの生存率が年々高まっている中、今後は、がんになっても自分らしく尊厳を保ちながら生きるための環境整備がますます必要となります。中でも、医療用ウイッグは、がん患者が外出や就労といった日常生活を送る上で重要な役割を果たすものであると認識しています。 今後、がん相談支援センターを通じてニーズの把握を行い、来年度予定している次期がん対策推進計画の策定過程で、関係者と議論してまいります。 次に、男性トイレのサニタリーボックスについてですが、現在、県庁本庁舎においては、各階の男性用多機能トイレにサニタリーボックスを設置しています。また、県では、一般のトイレを使いにくい方が、外出先でトイレに困ることのないよう、おでかけ安心トイレの普及にも取り組み、県ホームページで公開しているだけでも、県内160か所以上にサニタリーボックスが設置されています。 今後、公共施設をはじめ、様々な施設にこのような取組が広がっていくよう、さらに情報発信に努めてまいります。 引き続き、がんになっても自分らしく生きることのできる社会の実現を目指し、がん対策をしっかりと進めてまいります。  〔前田憲秀君登壇〕 ◆(前田憲秀君) 質問でも紹介しましたように、がんにかかる人は年間100万人、一生にがんにかかる人は2人に1人ということで、夫婦であればどちらかががんにかかることになります。緩和ケアを学ぶ医師は4,000人を超え、質の向上にも努めているとのこと。一方で、患者の状態、ニーズは多岐にわたり、これからさらに一人一人に寄り添った支援を強く希望させていただきます。 医療用ウイッグについては、患者が日常生活を送る上で重要との認識。県下の患者さんが治療の中で同じ支援が受けられるよう、しっかりと議論を進めていただくことを求めます。 男性用トイレのサニタリーボックスですが、これは比較的大きくなるので、多機能トイレということでありますけれども、通常トイレでも、この場所にサニタリーボックスを設置してありますという貼り紙でもしてあれば、さほど問題はないのではないかというふうに思います。 そのように、すぐにでも取り組めることであるかと思いますので、もっと柔軟な発想をして、これからもしっかり取り組んでいただくことを望みます。よろしくお願いいたします。 最後の質問になります。 消費者トラブル、サイバー犯罪の対策について質問いたします。 サイバーといえば、国レベルでは外交安全保障問題の議論になるのですが、ここでは、身近な生活ツールとなっているインターネットをめぐる犯罪等についてお尋ねをいたします。 コロナ禍は、インターネットが担う役割を変え、急拡大させました。学びに、暮らしに、趣味や娯楽に、この数年で大きくさま変わりしたネット社会について、いろんな角度から考える必要があるようです。 非対面でできるリモート会議をはじめ、利用頻度が上がったものや新たな利用方法がどんどん増え、アプリやサービスはますます便利になってきています。反面、利用の際の注意点はまちまちであります。 熊本県では、今年になって立て続けに約4,000万円、約3,500万円の現金をだまし取られるという、電話で「お金」詐欺が発生しています。被害者はいずれも高齢女性で、全く許せない事案であります。 類似の案件は、未遂事件を含め、昨年に6件、今年になって既に5件と、過去5年を振り返っても最悪の被害額とのことであります。 今回の被害で用いられた犯行ツールは電話ですが、ICT環境が急速に発達する中、詐欺被害がインターネット上においてさらなる増加が懸念されています。代表的なものとして、実在する大手企業名を名のって、毎日、様々な不審な迷惑メールが配信されています。 また、過日、成人年齢が18歳に引き下げられ、様々な契約行為が可能となりました。今後、こうした若者たちにも、インターネット上での消費者トラブルや詐欺等の被害が危惧されるところです。 総務省のインターネットトラブル事例集には「「自分や身近な人には起きない!」という発想や思い込みはとても危険」「心や体や将来を傷つけないためにどんな使い方が問題につながるのか」考えてみようと、約40ページにわたって紹介をされています。 そこで、熊本県下でのサイバー犯罪の現状等について、山口警察本部長にお尋ねをいたします。 また、こういった被害に遭わないための対策、今後の防止策について、同じく山口警察本部長と小原環境生活部長にお尋ねをいたします。  〔警察本部長山口寛峰君登壇〕 ◎警察本部長(山口寛峰君) まず、県内におけるサイバー犯罪の現状について御説明をいたします。 令和3年中に警察が受理をしたサイバー関連相談件数は、3,554件で、過去最高となりましたが、本年は、さらにそれを上回るペースとなっております。 内容としては、詐欺、悪質商法、迷惑メール、スパムメールに関するものが多数を占め、そのほか、ネット上の名誉毀損、誹謗中傷や不正アクセスに関するものなどがあります。 最近の傾向として、携帯電話会社やフリマアプリを装ったメールやショートメールメッセージにより偽サイトに誘導され、IDやパスワードを入力してしまい、それらを盗み取られ、金銭的被害に遭うフィッシングに関する相談の増加が見られます。 他方、サイバー犯罪の検挙状況については、令和3年に245件を検挙しており、こちらも増加傾向にあります。 このような状況の中、県警察としては、様々な媒体の活用や学生ボランティアとの連携などにより、情報発信による注意喚起に努めておりますが、今後も、より一層広報啓発活動を強化してまいります。 また、高度なサイバー犯罪に対応するため、捜査員を民間研修機関へ派遣するとともに、解析資機材の拡充に努め、今後も、人的、物的基盤の強化を図り、サイバー犯罪の予防と検挙に取り組んでまいります。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) まず、インターネットに関連した詐欺の疑いがある相談の現状についてお答えします。 県の消費生活センターにおける令和3年度の総相談件数4,533件のうち、インターネット関連は201件で、被害額は増加傾向にあります。 特に顕著なのが副業や投資に関するもので、被害額は、令和2年度の約3倍となっています。コロナ禍により自宅で過ごす時間が長くなり、ウェブサイトやSNSを介して副業や投資に関心を持つ人が増え、被害額が増加したものと考えられます。 県の消費生活センターに相談があった時点では、契約先と連絡が取れない場合が多く、消費者トラブルとして解決を図ることが難しいのが現状であり、未然防止が大切です。 県では、注意を要する相談事例について、報道機関への資料提供や県ホームページへの掲載などを通じて注意喚起を図っています。また、県弁護士会等と臨時の電話相談会を実施するなど、被害回復にも努めています。 今後とも、国、市町村、警察等の関係機関と連携し、消費者トラブルの未然防止、早期救済にしっかりと取り組んでまいります。 ○副議長(髙野洋介君) 前田憲秀君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。  〔前田憲秀君登壇〕 ◆(前田憲秀君) サイバー犯罪、ネット被害は、相談件数、被害額ともに増加傾向とのことでありました。警察には、徹底的に取り締まり、未然の防止策も強化していただくことを望みます。 また、被害の低年齢化も心配です。注意喚起の徹底に尽きるのでしょうが、その喚起手段が、今はSNSをはじめとしたネット媒体であることも心配です。 今回は触れませんでしたが、教育の分野でもしっかりと未然防止に取り組むことが必要ではないかと思っております。消費者被害の未然防止、早期救済になお一層強く取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。 最後に、要望を1つ述べさせていただきます。 投票率向上へ向けてと題しての要望であります。 過日、統一外の市議会議員選挙がありました。結果的には無投票だったのですが、このときに、選挙はがきを地元の郵便局に出すことになりますが、働き方改革の一環で、告示日当日の受付はしないということでありました。日曜日が告示日ですので、月曜日以降の平日に出すよう指示がありました。 現在、郵便局の配達は、翌日配達はなく、かつ平日のみとなっております。となると、月曜日に出して、有権者に届くのは早くても水曜日以降ということになります。これは、町村議会議員選挙であれば、告示日が火曜日になりますので、有権者に届くのは木曜日以降となります。 選挙はがきは、他の郵便物と比べて優先度が高いとのことでありますけれども、局によって、また、職員数によっても対応が定まっていないという懸念があるようです。 このことは、投票率アップに逆行することにならないか、選挙はがきの在り方について、選挙管理委員会においてもぜひ検討していただければというふうに要望をさせていただきます。 盛りだくさんでなかなかまとめられずに、本当は切り返しのところで皆さんに具体的なことをお訴えしたかったんですけれども、時間の関係でなかなかそれができなかったことは、今回の反省でございます。 これからも、しっかり地域、県民の皆様方の声を聞いて、しっかりと議場の場で皆様方と議論をしていくことをお約束し、私の質問を終わらせていただきます。 最後まで御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手) ○副議長(髙野洋介君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明9日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時15分散会...